１３話 ページ14
公園に着いた。植木に囲まれて、風はそよそよ囁く程度。本を読むには丁度良い。勿論誰もいない。遊具の手入れがされていないのは、真くらいしか訪れないからだろう。
「何買いました？」
「あ？ウロボロスの終わりってやつ」
表紙に、ウロボロスが描かれている。この本を書いたのは新人だがなかなか面白い文章を書く作家で、比喩が上手い。真が期待している作家だ。
「あぁ、それ最後主人公が恋人と代わって生贄になって終わりですよ」
「殴られてえのか」
袋から「ウロボロスの終わり」をだして、その角をAに向ける。Aがやれるものなら、とでも言いたげに口角を上げたので、溜め息一つで手を下ろした。
「お前が買ったやつは何だ？」
「Ｄr.ピリオドです。かなり前のものみたいですが」
真が信じないので、Aも袋から本を取り出して見せた。
「あぁ、患者を次々殺すサイコパス医師が、最終的に病気にかかって自分という患者も殺しちまうやつな」
「え？鳩尾が寂しいって言いました？」
「上等」
痛くも痒くもという顔をされたので、Aも握り拳を下ろす。
本当の殴り合いが始まる前に言葉の殴り合いは終わり、辺りは沈黙した。尤も、Aでは殴り合いにすらならなかっただろうが。
真がベンチに腰掛けると、Aも真の隣に座った。座高の差が、Aの身体的な幼さを改めて感じさせる。
真は肘掛を使って頬杖をついていたが、Aは本を膝上に置いて手を添えて読んでいた。先程からAは年相応の仕草をする。真に心を許したのか、あの出来事がまだ堪えているのか。
真がAの様子を横目に観察していると、その視線を感じてAは真に虫の死骸を見るような目を向けてきた。
「んだよ」
「それはこちらの台詞です何ですか人の顔をジロジロと気持ち悪い」
「お前、俺に対して猫被らなくなったな」
真が二ヤリとすると、Aはばつが悪そうに視線を逸らした。
今日くらい、誰かに寄りかからないと倒れてしまう。寄りかかれるのは、頼れるのは真くらいしかいないというのは知っていたが、それでも何だか笑いが止まらなかった。
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ルナ(プロフ) - 番外編とか続編とか作ってみて下さい！！ (2020年5月18日 18時) (
レス) id: 9be15952a3 (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - 更新頑張ってください！！ (2017年11月12日 23時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
氷留痲 - 追加･･･更新頑張って下さい！！ (2017年2月6日 0時) (レス) id: a6e8c41ba4 (このIDを非表示/違反報告)
氷留痲 - 面白い！貴方は花宮+赤司のIQのお方ですか！？((尊敬 (2017年1月22日 20時) (レス) id: a6e8c41ba4 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰。(プロフ) - 内容がミステリアスで思わず魅入ってしまいました。更新、気長に待ってます( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年12月28日 21時) (レス) id: bb18efc351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魅乃瑠 | 作成日時：2016年6月19日 23時
