８３★ ページ3
頭を下げたままでいるとドンと押されて、柔らかく甘い香りに包まれた。
ゆっくり頭を上げて様子を窺うと…
「…え？」
「とりあえず上がってください。お茶淹れますね。」
ここは部屋の中…？
Aさんの…
部屋の中？！！
「え？！」
「さ、櫻井さん？」
大きな声を出して驚く俺にAさんも驚いて、お互い驚きに目を見開きながら見つめ合う。
「え…いや…俺…ど、どうしよう…。」
「どうしようって…？」
「俺なんかが『なんかって言うのやめてください』」
あたふたする俺にピシャリと言い放つAさんの目は真剣で…。
「なんですぐ『俺なんか』って言うんですか？」
「いや…なんで…って言われても…。」
ずっと底辺で生きてきた俺は所詮、その程度の人間だって幼い頃からの刷り込みと言うか…
なんでと聞かれても明確な答えは出せないし説明できない。
泣きそうな目をしたAさんが玄関で靴を履いたままの俺の前に立つと俺の頬を抓る。
「いたっ…え？Aさん…？」
「櫻井さんが自信なさげに『俺なんか』って言う度に…そういう態度を取る度にもっと私の胸は痛かったんです。」
ついに涙を目から溢したAさんに、頬よりも胸の方が痛い。
「どうして…？私…櫻井さんの事…そのままの櫻井さんが好きって言ったのに…どうして信じてくれないの？」
そう言ってとめどなく涙を流すAさんを引き寄せるようにして抱きしめた。
「ごめん…本当にごめん…。」
潰れて壊しそうなくらいギュ〜ッと抱きしめると、俺の腕にしがみつく。
「言い訳になるけど…俺なんか…あ、違う…。」
どう言えばいいのか言葉を選ぶけど、語彙力ないから適当な言葉が出て来ない。
「俺にとってAさんは高嶺の花で憧れで…一方俺と言ったらとかく取り柄もないし、Soや松本みたいにイケメンでもないし…。」
どう言ったら伝わるのかな…？
よくドラマや漫画で見る身分違いの恋と言ったら大袈裟だけど、俺とAさんが付き合うって事は俺にとってはそれくらいの事で…。
「櫻井さんの取扱説明書が欲しい…。」
「俺の？俺の取扱説明書なんて見たって単純明快の事だけしか書いてないよ。」
「何て書いてあるの？」
少しだけ身体を離すと、潤んだ目で俺を上目で見つめる。
「…Aさんが好き…ただそれだけしか書いてないよ…。」
もっと潤んだ目を見たくなくて…
目を閉じて…
唇を重ねた…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1884人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キミ(プロフ) - 糖度マックス！！こんなに甘やかされてみたいものです！ (2019年9月18日 23時) (
レス) id: 744bc54dd4 (このIDを非表示/違反報告)
しょうくん(プロフ) - 朝から幸せでデレデレなお二人(//∇//)ありがとう。もっと甘々糖度上げてもいいですよ(^^)翔さんの幸せな日が続きますように。また更新楽しみに待ってます(^ ^) (2019年9月18日 8時) (レス) id: 490943dac7 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - おはよぉーございます。ウザい翔くん大歓迎！もっともっとウザくても良いかな(笑)続きが楽しみです♪ (2019年9月18日 7時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
しおなな(プロフ) - あゆママさん» 私も久々にここまで甘いカップルを書きましたよ（笑)やっぱり私はこういうのを書いてる方が性に合ってます。 (2019年9月18日 7時) (レス) id: b0600f2388 (このIDを非表示/違反報告)
しおなな(プロフ) - Fu--chanさん» それはもうすっごい濃いエスプレッソを飲みたくなるくらいの甘さだと思いますよ（笑)幸せそうでなによりです。 (2019年9月18日 7時) (レス) id: b0600f2388 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2019年3月4日 19時
