18話 ページ19
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「まいどー」
紙袋を抱えて店の外を出る。
太陽が朝よりも高い位置に居て、眩しい。
「ちょっと買いすぎたかな……」
ちらりと見た晋助の両手にも紙袋。
「こんなに買って、どうするんだ…」
少々呆れ気味にため息を吐かれる。
「い、やぁ…初めて見る柄とかあって……。ごめんなさい」
布を見る度に作りたい衣装が思い浮かんで、
沢山買い込んでしまった。
そして全て晋助がお金を出してくれた。
…感謝しかない。
謝謝と両手を合わせる。
「もう用は済んだか。帰るぞ」
「え、もう?」
「長居は危険だからな」
「うー………」
せっかく江戸に来たのに…、と俯く私。
すると、
「……はぁ」
本日2度目のため息が聞こえ、頭の上に手を置かれる。
「仕方ねェな、あと1時間だけだぞ 」
「やったー。晋助大好きー」
シ、と唇に人差し指を当てられる。
「…あ、ごめん。しんす…、……お兄ちゃん」
それでいい、とふっと口角を緩める。
なんか、ほんと…イケメンだよなあ、晋助って。
「次はどこに行きたい」
「あ、えっと…。あそこ!大きいビルが沢山あるとこ!」
指をさして「いいでしょ?」とはにかんでみる。
離れるんじゃねェぞ、とため息をつきながら歩き出す晋助。
なんかこれって、世にいう…デートってやつみたい。
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作者名:高海 | 作成日時:2018年9月18日 18時