10.説明 ページ10
胡蝶さんの話によると私を襲った化け物は、人を食べて強くなる「鬼」という生物らしい。
そして、無一郎さんや胡蝶さんたちは鬼を倒す組織である鬼殺隊の一員で、鬼を倒すための特別な刀である日輪刀で鬼の頚を切っているのだとか。
生まれてこの方、昨日まで私が知らなかった世界がそこにあった。
「それで、Aさんが昨日苦しんだ原因は鬼が毒を持っていたからなんです。言葉を話せるほど知能のある鬼だったようなので、本当に危なかったんですよ」
「ど、毒!?」
「時透さんが、気付いてここまで運んできてくれたお陰で毒の廻りが遅くて済んだんです」
じゃあ、彼が私をここまで抱えてくれたのは、毒の廻りを遅らせるため?
『じっとしてて。喋ってると舌を噛むよ』
あの言葉はそう言うことだったの………?
それで着いたときにあんなに動悸がして苦しくなったのか。
「回りくどい言い方して。随分と不器用な方ですね……」
気が付くとそう呟いていた。
「記憶がない分、お話はあまり得意ではないようですから」と胡蝶さんは言った。
納得したと同時に、ふと思い出す。
彼に抱えられて顔が熱くなったのも、ドキドキしたのも毒のせい……?
「念のため今日一日はこちらで様子を見ましょうね。注意事項を守ってくだされば、明日には帰宅して大丈夫ですよ」
言われて、ハッと思い出した私は立ち上がる。
「大根っ!!!」
「えっ?…Aさん??急に立ち上がらないでください。まだ毒が抜けきった訳ではありませんよ」
胡蝶さんが告げるとアオイさんが私を座るよう誘導する。
「胡蝶さんっ!どうしましょう!?私、直ぐに帰らないと!!」
「とりあえず落ち着いてください」
「私、お使いの帰りだったんです!それで今日お店で使う大根を…!!と言うか、何も言わずに家に帰らなかったから、みんな心配してるかも!!!」
有り得ない出来事の連続ですっかり忘れていたけれど、一度思い出すと焦りが募る。
そんな私とは裏腹に胡蝶さんはにっこり微笑む。
「それなら心配要りません。お荷物は時透さんが届けている筈ですし、Aさんがここで療養していることもご家族に伝えて貰っていますから」
「えっ!?」
ど、どういうこと!?
「昨日、Aさんが落ち着いたあと、貴女の荷物と私が書いた文を預けたんです。Aさんのお家の場所を知っているのは、時透さんだけですから」
胡蝶さんはそう言うと私に分かりやすく説明してくれた。
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月見(プロフ) - 香恋さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます!褒めて頂いてとても嬉しいです(*^^*)ゆっくりになりますが、更新頑張ります!! (6月26日 7時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 月見さんの久しぶりの鬼滅作品…!!!しかも無一郎くん( ; ; )嬉しいです!!刀鍛冶の里編ロスを埋めて下さいます泣 相変わらずキャラが喋ってる様に台詞が聞こえてきます。続きとても楽しみにしています☺️ (6月25日 23時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年6月8日 22時