16.食堂へ復帰 ページ16
数日後、傷の痛みを殆んど感じなくなるまでに回復した私は、漸くお店に復帰した。
何時ものようにお店に出て仕事をこなしていく。
「Aちゃん暫く見なかったけど、今日から復帰かい？」
「怪我はもう治ったの？」
と、近所に住む常連さんたちが声をかけてくれた。
少しドキドキしながらその時を待つ。
そして、お昼を少し過ぎるとお客さんが減ってきたいつものタイミングで、無一郎さんはやって来た。
「いらっしゃいませ」と声をかけるといつものカウンター席へ座って、いつも通りメニュー表を眺める彼。
「ふろふき大根とご飯一つ」
「畏まりました！」とニコッと笑いかける。
「………何でかな？……昨日もここに来てる筈なのに、この感じ久しぶりな気がする」
「っ！？」
いつもなら無反応の無一郎さんが喋った！！
「それは昨日まで私がお休みしていたからだと思います」
答えると無一郎さんがジッと私を見る。
「……君は………えーっと………」
「Aです！」
少し食い気味に名乗る。
「そう。…………怪我はもう治ったの？」
「そこは覚えているんですか？」
「ぼんやりと……朧気に………」
「ぼんやりと、朧気に、ですか…」
それでも無一郎さんは私の存在を覚えてくれていた。
名前までは流石に覚えてなかったみたいだけど。
じゃあ、味見を断ったことも覚えてたりするのかな？
その考えに辿り着いた私は少し緊張を覚える。
暫くして料理が出来上がって来た。
「お待たせしました」
告げて、ふろふき大根とご飯を彼の前に配膳する。
「それから、こちらおまけです」
「何これ」
「ひじき煮です。助けていただいたお礼なのでお代は取りません。私の料理の修行のために味見して感想を聞かせて下さいって……この前、言いましたよね？」
ドキドキと胸が脈打つ。
どうか、無一郎さんが断ったことを覚えていませんように！！
そう願いを込めながら、彼の返事を待つ。
「別に…気にしなくていいのに」
呟きながら無一郎さんがお箸を取ると小鉢に手を伸ばす。
どうやら、私が提案した味見を断ったことは覚えていないみたいだ。
今日作ったひじき煮には他に人参、油揚げ、大豆が入っている。
お箸でひじき煮を持ち上げた無一郎さんがじぃっとそれを眺める。
不味そうとか、変なものが入ってるとか思われていないよね？と、今度は別の意味でドキドキしながらそれを眺める。
続く (更新停止中)
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月見(プロフ) - 香恋さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます！褒めて頂いてとても嬉しいです(*^^*)ゆっくりになりますが、更新頑張ります！！ (6月26日 7時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 月見さんの久しぶりの鬼滅作品…！！！しかも無一郎くん（ ; ; ）嬉しいです！！刀鍛冶の里編ロスを埋めて下さいます泣 相変わらずキャラが喋ってる様に台詞が聞こえてきます。続きとても楽しみにしています☺️ (6月25日 23時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2023年6月8日 22時
