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13.考え事 ページ13

鬼にやられた傷が癒えるまで暫くお店に立つことはお休みになった私。


胡蝶さんから怪我が治るまでは陽の光をよく浴びるように言われたこともあって、昨日から陽の当たる二階の部屋から窓の外を眺めていた。

そこでこの二日間ぼんやりと考えていたのは、私を助けてくれた無一郎さんのことだった。


無一郎さんは、話しかけても素っ気ないし、言葉は少しキツめだ。

けれど、私が毒に侵されていることに早く気付いて、毒が回るのを遅らせるために私を抱えて走ってくれた。

あまり話さなくて済むように、気に掛けてくれた。


そして私の荷物を届けてくれたし、家族に伝言もしてくれた。

私が帰る日には家まで案内をしてくれた。


小柄なのに腕は意外とガッシリしていて、筋肉質な体。

きっと私とそれ程変わらない年齢の少年の筈だ。


どれだけ鍛えたんだろう?

どれだけ努力して鬼狩りの仕事をしているんだろう?


記憶がなくて、最近の出来事も覚えていられないって…………

どれだけ不安な日々を過ごして来たんだろう。


きっと私には想像も出来ない程の日々を過ごしてきたに違いない。


私は無一郎さんのこと何も知らない。


考えれば考えるほど、胸がモヤモヤすると同時にきゅっと甘く締め付けられる。

あの時、私を抱えて走ってくれたときに感じた胸の高鳴りがよみがえってくるようだった。


けれど、あのドキドキは毒に侵されていたせいかもしれないんだよね………


無一郎さんは下心なんて欠片も持ち合わせていないだろうし、彼にとってはそんなもの邪魔でしかないのだろう。


だから、私のこの気持ちが恋心だったとしても、これ以上、育てちゃ駄目だ。


どうせあの時のお客さんの女の子みたいに振られるのは目に見えている。

そんなの惨めだ。


でも、助けて貰った恩返しはしたい。

無一郎さんの助けになれたら、少しは彼の抱えているモノが楽になるかもしれない………


そう思っちゃったんだ。



考えていると、遠くに見慣れた姿が見えてきた。


よし!と心の中で気合いを入れて、私は下の食堂へ向かった。

14.おまけ→←12.送迎



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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:アニメ
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月見(プロフ) - 香恋さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます!褒めて頂いてとても嬉しいです(*^^*)ゆっくりになりますが、更新頑張ります!! (6月26日 7時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 月見さんの久しぶりの鬼滅作品…!!!しかも無一郎くん( ; ; )嬉しいです!!刀鍛冶の里編ロスを埋めて下さいます泣 相変わらずキャラが喋ってる様に台詞が聞こえてきます。続きとても楽しみにしています☺️ (6月25日 23時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2023年6月8日 22時

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