2.いつものメニュー ページ2
今日も彼がやってくる。
「………ふろふき大根とご飯一つ」
いつも同じ物を注文するのに、何故かいつもメニュー表を眺める彼。
たまには違うものも頼んだらいいのに。
「畏まりました！」
喉元まで出そうだった言葉を飲み込んで、ニコッと笑い掛けるけれど無反応。
このやり取りにも段々と慣れてきた。
暫くして、料理が出来上がると彼に提供する。
「お待たせしました！」
彼の前に配膳すると箸を手に取って食べ始める。
そんな彼の袖を妹がツンッと引っ張った。
「お兄ちゃん毎日同じものばかりだね。たまにはおうどんもどう？お父さんとお爺ちゃん自慢の看板メニュー！！美味しいよ？」
彼に話しかけた我が妹に私はサァッと血の気が引く。
「っ…！ミチ！！お客さんに失礼だよ！！」と私が声をかけた直後に彼も妹に話しかける。
「……僕が何を頼もうと、君には関係ないよね？」
私が急に怒ったことと、彼からそう問われて、ミチが眉をハの字にしてしょんぼりする。
「………ごめんなさい」
謝ったミチに続けて私もペコペコと頭を下げる。
「妹がすみません！気になさらず、今後も食べたいものを注文してください」
「……………。」
返事がなくて、ゆっくりと顔をあげる。
何時もの無表情な彼が私をジッと見ていた。
「………そう。まぁ、明日はそのうどんとやらを頼んでもいいけど」
予想外の回答に「へ？」と声が漏れるけれど、慌てて我に返る。
「あ、はいっ！！ありがとうございます！明日もお待ちしています！！」
少しキツい物言いだけれど、うどんを頼むと言ってくれた。
もしかすると思っているよりは良い人なのかも…？
この時、初めて彼の事をそんな風に思った。
＊＊＊＊＊
次の日、いつもと同じ時間に彼がやってきた。
「………ふろふき大根とご飯一つ」
「えっ？」
昨日はうどんを頼むって言ってたよね？？
私の反応に目の前の彼が不思議そうに首をかしげる。
「すみません、もう一度お伺いしてよろしいでしょうか？」
確認のため、もう一度尋ねる。
「ふろふき大根とご飯一つ」
「………。」
昨日のやり取りは何だったのかな…？
私が中々了承しないからだろう。
ほんの少し目の前の彼が不機嫌そうに眉をしかめた。
ここは「畏まりました！」と答えるべきだろうけれど………
ミチはこのお客さんがうどんを食べると言ったこと、きっと覚えている。
妹が悲しむかもと思うと、私は勇気を振り絞って尋ねていた。
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月見(プロフ) - 香恋さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます！褒めて頂いてとても嬉しいです(*^^*)ゆっくりになりますが、更新頑張ります！！ (6月26日 7時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 月見さんの久しぶりの鬼滅作品…！！！しかも無一郎くん（ ; ; ）嬉しいです！！刀鍛冶の里編ロスを埋めて下さいます泣 相変わらずキャラが喋ってる様に台詞が聞こえてきます。続きとても楽しみにしています☺️ (6月25日 23時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2023年6月8日 22時
