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 離れから出たはいいものの、これからどうしようか。


 母屋には他の刀剣男士がいる。

 離れにいろといわれた以上、出たことがばれてしまったら怒られるだろう。それどころか、斬られるかもしれない。


 別に斬られるくらいなら構わないのだが、それによって死んでしまうことがなによりの懸念だ。

 死んでしまっては、義務を果たすことができない。それは困る。




 そろそろ三十秒経つ頃だ。さすがに、どこかに隠れでもしなければいけない。だが、一体どこならば見つからないのだろう。

 そもそも神様たちは長年ここにいるわけだし、知らない場所というのはないに等しいのではないか。

 というか神様にわからないことってあるんだろうか。




 ぐるぐると思考が頭を巡る。このままでは堂々巡りだと頭を振り、とりあえず本丸の外れへと向かった。さすがに母屋に突進するほど私は無謀ではない。


 しばらく走って行くと、大きな蔵があった。

 昔ながらの日本家屋にふさわしい巨大な蔵。こんなもの、今の日本にはもう残っていないだろう。

 ここならしばらくは(しの)げるかもしれない。

 少なくとも、身を隠せる場所のないこの場で立ち尽くしているよりはマシだろう。




 立て付けの悪い扉を開けると、ホコリっぽい匂いが鼻をついた。だが、母屋のような濃い血の匂いはなく、それだけが救いだった。

 あの血の匂いを嗅いでいると、どうしても戦争中のことを思い出す。

 私は間違いを犯したから、もう戦争には出してもらえない。マスターの役に立てないことが、私にしては珍しく虚しくて悔しかった。

 感情の薄い私が感じる虚しさや悔しさなんて、たかが知れているけれど。




 蔵の中はずいぶんと涼しくひんやりしていた。

 奥へ奥へと進んで行くと、足になにかが当たった。

 なんだろうと視線を下に向ける。大きな木箱に、たくさんの刀の残骸が入っていた。




「……これは」




 それらは既に折れて、冷たくなっていた。ぎゅうぎゅうと箱いっぱいに詰められたたくさんの欠片たちは、どうしてか苦しげだった。

 私はその中で、きらきらと光る一本の刀を見つけた。折れてない刀だ。

 なぜここにあるのかはわからない。もしかしたら間違えられたのかもしれない。取り出してみると、短刀だった。




 次の瞬間、ぶわりと桜が舞った。


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フキ(プロフ) - 好きです!続きがとっても気になります!! (2022年6月15日 23時) (レス) id: 171aa22f7a (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - あんこもちさん» アーーッそうでした!万死……、 すぐに修正します!ありがとうございました! (2019年12月7日 12時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - 鯰尾と骨喰は元大太刀ではなく薙刀では? (2019年12月7日 11時) (レス) id: 1c5e807086 (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります´ω`* (2019年8月2日 13時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
0dh38w152yz4d3p(プロフ) - とっても面白いです!更新楽しみにしてます(*^^*) (2019年7月31日 16時) (レス) id: b48a4a1bf4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高橋かかし x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年11月18日 20時

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