無感情ブラック【刀剣乱舞】 (ページ6)

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　げぇむ。げーむ。ゲーム。

　目の前の神様が横文字の言葉を発したことを意外に感じながら、私は首を傾げた。

「ゲーム、ですか？」

「ああ」

　神様はにっこりしながら大きく頷き、はちみつ色の丸い瞳を細めた。

　ゲーム。勝負事。遊び。

　一体この神様は、どんなことをいい出すのだろう。見た感じ、私は彼に好かれてるとはいい難いし、ただ楽しむためだけにいったのではないことは明らかだが……

「なに、簡単なことさ。俺がきみを追いかけ回すから、きみは日が沈むまで逃げてくれればいい。逃げ切れたらきみの勝ち、なんでもひとついうことを聞こう。……だが、」

　神様は一度そこで言葉を止め、にいっと口の端を釣り上げた。

「逃げ切れなかったら、俺の勝ち。ここから出て行ってもらう」

「……それを聞いて、私が頷くとでも？」

「別にやりたくないんだったらいいさ。ただの暇つぶしだからな」

　変なことをいい出す人だと思った。

　一見ただの鬼ごっこだけれど、あちらは私を追い出したがっているのだし、何か仕掛けてあっても可笑しくない、と普通なら思う。

　それに、単純に考えても、あちらに地の利があるのは明白だ。

　勝負を受けてもらえる可能性の方が低いのに、なぜ彼はこんなことをいうのだろうか。

「いいですよ、やりましょう」

「……へえ、こりゃ驚いた。受けるのかい？」

「受けて欲しくないのですか？」

「いいや、そんなことはないさ。嬉しいよ」

「そうでしょうか。そうは見えませんが。……さ、やるなら早くやりましょう。制限時間は日が沈むまで、でしたよね」

「ああ。俺が三十数えるから、きみはその間に逃げてくれ。隠れてもいいぞ」

「了解しました」

　私が外へと足を向けると、後ろから「いち、に、さん、」と数を数える声が聞こえ始めた。

　……本当に、なぜ彼はこんなゲームを持ち出したのだろう。律儀に数もかぞえているし。刀も……腰に差したっきり手をつける様子はない。

　……まあいい。この期に本丸の内蔵を覚えてしまおう。そう思いながら、私は離れから立ち去った。

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