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「あの……刀剣様方は、普段湯浴みは?」

「はっ?」




 私が尋ねると、長谷部様は驚いたようにぱちぱち目を瞬かせた。なぜそんなことを聞くのかわからない、といった表情だった。




「は、はあ……湯浴みですか。いえ、しておりません。前任の命でしたから」

「それは……」




 確かに審神者の中にも、刀剣男士に湯浴みをさせない者というのは少なからず居るという。それは本丸の運営方針に寄るもので、手入れをすれば汚れも怪我も無くなるのだから、といった次第だ。

 勿論、刀剣男士は人の身であるから、風呂には入らせたいというのが一般的な本丸の在り方だ。風呂ではなく手入れで済ませるという本丸は、かなり少数派だろう。



 だが此処は、怪我のときの手入れさえ行っていない本丸だ。それに、全く使わないのであれば、こうも風呂場が酷くなることはない。使った形跡があるからこそ、放置されて酷くなるものだ。つまり……。




「汚れても、汗をかいても、前任はあなた方を風呂に入れることはなく。そればかりか、手入れをすることさえも怠っていた。と、いうことでよろしいでしょうか」

「は……まあ、有り体にいえばそうですね。それが何か?」




 そう済ました顔でいってのけた長谷部様を、じろりと睨むように見上げる。ツンと顎を上げていた長谷部様は、その視線に狼狽えるように何度か瞬きをした。どうやら長谷部様は、感情が瞬きに現れるタイプのようだ。人間にもそういうやつはいる。




「恐れながら申し上げます。いくら神様といえど、今は人の身を持っている訳ですから、当然風呂に入らなければ不潔です。端的に申し上げますと、汚臭がしますしフケも出ます。汚いです」




 ズケズケとした私の物いいに、ピクリと長谷部様の眉が跳ね上がる。




「それに、あなた方は戦場にも出ておられる。だいぶ穢れが溜まることでしょう。今は昔とは違うのです。わざわざ川で禊を済ませなくとも、楽に汚れを落とす方法はいくらでもあります。石鹸も部位によって違うものがございます。いいですか。わかりますか」

「わかりません。何を仰りたいのでしょう」

「あなた方が今早急にやるべきことは、風呂に入ることだということです。私が用意した湯など不快でしょうが、そのままの状態でいられる方が不快です。神様にそんな不便な生活させられません。よろしいですか。今からここを掃除します。終わりましたら、早急に湯に入って頂きたい。わかりましたか」


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フキ(プロフ) - 好きです!続きがとっても気になります!! (2022年6月15日 23時) (レス) id: 171aa22f7a (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - あんこもちさん» アーーッそうでした!万死……、 すぐに修正します!ありがとうございました! (2019年12月7日 12時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - 鯰尾と骨喰は元大太刀ではなく薙刀では? (2019年12月7日 11時) (レス) id: 1c5e807086 (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります´ω`* (2019年8月2日 13時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
0dh38w152yz4d3p(プロフ) - とっても面白いです!更新楽しみにしてます(*^^*) (2019年7月31日 16時) (レス) id: b48a4a1bf4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高橋かかし x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年11月18日 20時

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