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 薬研様は、比較的速やかに手当を終わらせてくれた。


 私に備わっている自己回復能力が働いていたのか、腹の傷はそんなに大したことにはなっていなかった。これには薬研様もひどく驚いていて、しきりに私の腹を眺め回していた。

 こんのすけが「薬研様、セクハラです」と訴えてくれなければ、何時間でも傷の検査をしていただろう。

 まあ、別に構わないのだが。




 その後は鶴丸様が持ってきてくださった地図を二人──正確には一人と一振りだが──で眺めながら、翌日からの行動について話し合っていた。

 主にどこから攻略……失礼、切り開いていくかの話し合いだ。


 最終的に、先に風呂と厨の確保をすることに決め、私は床に着いた。薬研様は張り番をすると意気込んでいたが、結局一時間と経たずに熟睡してしまっていた。

 練度の関係か薬研藤四郎の気性か、あるいは個体差かはわからないけれども、仮にも刀剣男士がどうなのだろうかと思うところではある。しかしまあ普通に可愛らしいので、起こさずそっとしておくことにした。





 そうして私もしばらく寝入っていたのだが、眼前に現れた気配にはっと反射的に瞳を開けた。いつの間に侵入されたのだろう。上半身を起こそうとすると、グッと首に力が込められ、結局身体を起こしかけた体制のまま硬直する。

 微かに溢れる殺気に、薬研様も反応したのだろう。私が瞬きをするかしないかのうちに、ガラリと勢いよく襖を開き、刀身を侵入者の首に押し当てていた。その素早さにはさすが短刀と感嘆せざるを得ない。全く見事なものである。




「「動くな」」




 薬研様と侵入者、ふたつの声が重なった。薬研様は侵入者の首を捉えているが、反して侵入者は私の首を捉えている。まさにふたつにひとつ、緊迫した状況だ。




「……あなたの、お名前を聞かせてください」




 私がそう問うと、目の前の気配は僅かに身動(みじろ)ぎし、暫しの間の後「骨喰藤四郎」と吐き捨てるように答えた。

 骨喰藤四郎……確か脇差の一種だったはずだ。なるほど道理で隠蔽が上手いはずである。




「承知しました、骨喰藤四郎様。あなたの望みはなんですか。こうまでして侵入してきたからには、何か私にしたい、もしくはして欲しいことがあるのではないですか」




 私は努めて冷静にそう尋ねた。やがてまた僅かな間の後、骨喰様は囁くような声でこういった。




「兄弟を、どうか助けて欲しい」


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フキ(プロフ) - 好きです!続きがとっても気になります!! (2022年6月15日 23時) (レス) id: 171aa22f7a (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - あんこもちさん» アーーッそうでした!万死……、 すぐに修正します!ありがとうございました! (2019年12月7日 12時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - 鯰尾と骨喰は元大太刀ではなく薙刀では? (2019年12月7日 11時) (レス) id: 1c5e807086 (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります´ω`* (2019年8月2日 13時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
0dh38w152yz4d3p(プロフ) - とっても面白いです!更新楽しみにしてます(*^^*) (2019年7月31日 16時) (レス) id: b48a4a1bf4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高橋かかし x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年11月18日 20時

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