無感情ブラック【刀剣乱舞】 (ページ1)

今日:9 hit、昨日:6 hit、合計:280,643 hit

(01) ページ1

.

　西暦2134年。

　他国との戦争を始めた日本は、深刻な人手不足に陥っていた。

　核兵器などによる攻撃。軍による強襲。様々なものが執行されたが、戦況は一向に明るくならず。戦争は長引き、人々は飢え、不満はつのる一方だった。

　やがて国は、この数十年の間に飛躍的に上昇した科学技術を頼ることにした。

　科学技術と聞くとやはり核などの化学兵器を思い浮かべるかもしれないが、そうではない。

　遺伝子操作を施した、所謂「人間兵器」というものを、国は造ろうと試みた。

　SF漫画やドラマの中でしか存在しないようなそれら。初めに造った美しい個体を軸に、科学者たちは次々とそれを増やしていった。

　痛みによって動きが鈍らないように、痛覚をなくし。

　情によって立場が揺れてしまうことがないように、感情をなくし。

　すぐに壊れてしまわないように、自己回復能力を供えさせ。

　様々な闘い方ができるように、見目も麗しく造った。

　当然、完璧なものを造るのは至難の技だった。

　完成品ができるまで、一体どれだけの失敗作が出たのか。

　彼女たちはめまぐるしい速度で戦場に送り込まれ、有無をいう間もなく死んで行った。その数など、もはや誰も覚えていない。

　そして、現在(いま)もその戦争は続いている。

　私たち11代目の「兵器」は、比較的完成品に近い性能をしていた。だが、感情値が一定を超えていたため、また戦場に駆り出された。

　そして私は、そこでひとつの「罪」を犯した。

　その罪は、決して許されるものではなかった。そのため、此度の私は、マスターの手によって処分される取り決めとなった。

　──未来から、「審神者」の人員要請が来るまでは。

.