29話 ページ27
「見て〜、泡〜。もこもこ！ふふ！」
いい香りがする
ひょいっと指先でそれを
「ちょ！」
「はは。可愛い」
キュンっと胸が押し潰されそうなトキメキが、照れ臭く、思わず変顔を返してしまう。
それすら、いとおしそうにウィリアムは頬にキスをしてくれる。
「ほら、髪を洗ってあげるよ。ん？」
「この傷どうしたの？ムチで打たれた傷みたい」
そう言えば、こんな明るい場所でウィリアムの体をゆっくり見るのは始めてだ。
古い傷のようだけれど。
「そういう
「わ、わかってるわよ！！」
一定数そういう人種がいるのは知っているが、改めてからかわれるとどう返していいかわからず、つまらない返事しか返せない自分を軽く恨んだ。
話が弾むような面白い返事を返したいのに。
ちゅっと、ウィリアムの唇が肩に触れた。
最初こそビクッと体が跳び跳ねてしまったが、のぼせたような感覚も手伝って、頭がふわふわするまでに時間はかからなかった。
「気持ちいい？」
「うん、もっとして」
向き合うように体の向きを変えて、ウィリアムと唇を重ねた。
ベッドの中で2人、何も身に付けずに
「クロックとどんな話をしていたか最初から話せる？」
言われるがままに会話を思い出そうとするが、これといってない。
「シャーロックが何を隠したのか知りたくないかって。あとは、今の自分に満足しているかって。それで、私はいい子じゃなくて都合のいい女だって……」
気持ちもいくぶんか落ちついたため、昼間ほどは気落ちはなかった。
「ごめん」
「何が？」
「シャーロックに口止めをしたのは僕だよ。君が知る必要のないことだと思ったから」
「…うん」
どうでもいい。
今はただ、ウィリアムの胸の中で静かに眠りにつきたかった。
深夜、マントをかぶり、ひっそりと部屋を訪れたのはルイスだった。
「兄さん、入ります。」
「どうだった？」
何がとは言わなくても、クロックのことだとルイスは瞬時に理解したようだった。
「まかれました」
「まぁ、そうだろうね」
元々成功するとは思っていなかった。といった風なウィリアムからは失望の様子もない。
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ゆりあ(プロフ) - 一気読みしてしまう程素敵なお話、ありがとうございます！各キャラが光り、ロマンスと悲劇、そしてシャーロック・ホームズのシリーズ独特の空気感が本当にバランスがよく混ざっていて、1回だけの評価じゃ物足りないです。これからも楽しみにしています！ (2020年11月3日 9時) (
レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
may - 面白いです！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: f06d3bd476 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈(プロフ) - 面白くて最初から一気読みしました！オリジナルの要素が面白く、かつ世界観やキャラの雰囲気はそのままで、これから先もとっても楽しみです。星10を1回しか付けられないのが残念です。応援してます！ (2020年6月17日 21時) (レス) id: a9fe05af76 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - とても素敵なお話に一気に読んでしまいました。とても2人の行く末がきになります！お身体に十分気をつけて、頑張ってください。 (2020年4月4日 19時) (レス) id: e522c50a47 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ななしさん» ななし様へ ご指摘ありがとうございました。訂正しました。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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