私はラメントーソ (ページ6)

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その日、克樹に職場の近くのカフェで食事をしないかと誘われて、仕事の休憩時間を利用して一人でカフェを訪れた

冷房が少し効いた店内に入って周囲をぐるりと見渡すと、奥で最新のパソコンでなにやら仕事をしている克樹が目に入った

…相変わらず様になるなぁ、、

『克樹！』

『ごめん、仕事忙しかった？』

『ううん、午後のこの時間は生徒さんも少ないから全然いいよ。寧ろ誘ってくれて嬉しかった！』

『本当？…あ、なんか奢るよ。適当に頼んで！』

『…じゃ、このセット』

『高っ！』

『あれ？ダメだった？』

『そういう遠慮のない所変わってないね、、あ、嫌味じゃないよ？』

食べ物が来るまで私達はその場しのぎのように他愛のない話をダラダラと続けていた

しばらくすると食事が運ばれてきて、私達はなんとか意識を食事に向ける
克樹が自信を持ってお勧めする店なだけあって近所の店とは比べ物にならないくらい高級な味がした
…舌が肥えてないからよくわからなかったけど、、

『…嶺亜となんかあった？』

久しぶりに克樹が口を開いたと思ったら、こんな事を言い出したので私は思わず後ろに大きくのけぞってしまう

…克樹の刺すような鋭い目線と真剣な面持ちに私の体も硬直してしまう

『なんかあったって…なんもないけど、、』

『最近じゃなくてここ何年か』

なんでそんなにお見通しなの？
克樹の目は千里眼かなにかなの？

『どうして？』

『んー、俺だからわかるんだよね』

『なにそれ！』

『っていうのは半分冗談で、Aが信じられないぐらいわかりやすいんだよ』

『嘘…私ってそんなにわかりやすい？』

『うん、すっごいわかりやすい。考えてる事が手に取るようにわかるよ？』

そういえば前に矢花にもそんな事を言われた気がする
…本当に私は小さい頃から嘘をつくのが下手くそなタイプだ

点数の悪いテストを隠しても、つまみ食いしてもすぐに母親にバレて怒られた記憶がある

『嶺亜って言うと眉毛がぴくって動くんだもん、面白すぎるでしょ』

なんとなく自分の眉毛をむぎゅっとしてみたらアイブロウパウダーが指についてなんだか少し不快な気分になった

『…で、嶺亜と何があったの？』

『、、そうだ、克樹今日の夜暇？』

『何急に…まあ暇だけど』

『飲みに行かない？』

『いいけど…急にどうしたの？』

『お酒入らないと話せないし…』

ここ何年かの出来事はシラフでは多分喋れないと思う