私はラメントーソ (ページ35)

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．ページ35

…身近な人が死んじゃうのって初めてだな…
こんな感じなんだ、、

ベットに安らかな顔で眠る母親。私からすればなんでそんなに安らかな顔をできるのかその神経がよくわからないけど、亡くなった人はみんなこんな感じの表情をしてるのかな、、

ベットの周りには見知った顔の涙ぐんだ様子がある
…慶の目にも少し涙が溜まっているのが見えてなんだか居た堪れなくなってしまった

だけど…

だけど嶺亜は

いや、嶺亜だけは安らかに眠る母親をじっと見つめていた
…何を考えているのか、何を思っているのか
私には全く見当がつかない

だけど嶺亜が何を考えているのかわからないことなんて今に始まった事ではない。だから、私はそっと嶺亜を視界から外した

『…おかあ、、さん』

隣で慶が泣いてる
…私のせいだ

私がお母さんと絶縁してなかったら、、慶は後悔なくお母さんを看取れていた…いや、お母さんはまだ生きていたかもしれないのに。

そう思う反面、なんだかんだ若い男…しかも娘の知り合いとよろしくしていたと思うと反吐が出そうだ

母親は癌だったらしい
私は、そんなことも知らなかった
…娘だけど、、娘なのに半ば親を捨てたようなもんだ

『…ごめん、、なさい』

一言そう呟くとそっと病室を後にした
何をすればいいのかわからない、、どうしていいのかわからない

母親の家族も、中村さんも、お父さんも、…多分嶺亜も…そして慶もみんな私がお母さんと絶縁したのを知っている

きっとみんな…最後まで娘に絶縁されてて可哀想…だなんて思ってると思う…現に、私だって少しそう思っている

『Aちゃん。』

なんだか頬にひんやりとした感覚を覚えた後、そっと見上げるとそこには中村さんがいた

『中村さん…』

『Aちゃん。大丈夫？』

『…大丈夫…では、ないですけど、、』

『そうだよね…』

『中村さんこそ…平気ですか？』

『…俺は、実は会ってたんだよね。少しお金も出したし…嶺亜君と香苗さんが交際してたことも知ってたんだ。黙っていてごめん…』

『中村さんは悪くないですよ！…お金いくらですか？お支払いします！』

財布からキャッシュカードを出そうとすると中村さんは咄嗟に私の手首を掴んだ

『…お金はいいよ。君に払ってもらう義理なんてないからね、、だから戻ろう』

中村さんは私の手首を掴んで病室まで連れて行ってくれた
相変わらずしんみりとした空気は変わらなかったが私の心には少しだけ変化があった