私はラメントーソ (ページ34)

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．ページ34

『…A…』

いきなり病室に入ってきた私に驚いたのか、母親に付き添っていた嶺亜から驚きの声が漏れた

…この二人そういう関係なのか、、とやかくいうつもりも資格もないけれど…なんか、、複雑な気持ちになる

『座りなさい』

母親はベッドの下から赤くて丸い椅子を出すと私に座るように指示をした
本当に今の今まで危篤だったとは思えない。…嘘だった？いつものお得意のお母さんの嘘？

『嶺亜、ごめん。二人にしてもらってもいい？』

嶺亜は少し驚いたあと、心配そうな顔をしながらそっと病室を後にした

…

いざ、二人きりになった病室では沈黙が流れ続けていた
…こうなるんだったら嶺亜がいてくれた方がよかったのにな、、

『…お母さん、、』

『ごめんなさいね、少し体調が良くなくて寝かせてね』

『気にしなくていいから寝てなよ』

額には汗、そして肩で大きく息をしていてなんだか見ているこちらが辛い
…許せない、、だけど許してあげたい…だけど許せないそんな気持ちの反復でどうしたらいいかわからなかった

危篤からここまで持ち直したのも奇跡なのに…今無理をさせたらまずい…そう判断して私はそっと部屋を出ようとした

…けれど、

『A…いや、Aさん、、待って』

『A…さん？』

お母さんが私の名前をさん付けで呼んだ
なんだかおかしな気持ちになってすぐにそっぽを向いたけどお母さんは気にせず私を呼び止める

『なによ…』

『話を聞いてほしいの…何を言っても無駄だと思うから単刀直入に言うわね…ごめんなさい、、本当にごめんなさい。あの日から、後悔しなかった日は1日たり…とも…ないわ』

なんだか言葉が途切れ途切れでおかしい…息遣いも荒くなっている

『無理に喋らなくていいよ』

『…ごめんなさい…許してもらえないかもしれないけど、、』

ふと、自分に嫌な気持ちが降りてきた
…この人もしかして自分が地獄行きになりたくないから私に謝っておこうっていう魂胆を持っているんじゃないか、、

『…許してくれる？』

…三つ子の魂百まで
やっぱりなんだか打算的な企みがあるのだろう
もう怒りを通り越して呆れた…と、言ったところであろうか

『…ハァ…ハァ…ごめんなさい…』

やっぱり息遣いが荒くて、もう今にもぽっくり逝ってしまいそうだ…だけど、、やっぱり許せなかった
謝ればいいってもんじゃない

『ごめんな…さい』

私に許されることのないまま、私だけに看取られて母親は死んだ