私はラメントーソ (ページ28)

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結局、矢花が映画のチケットを買ってくれて私と慶がそれに乗っかる形で三人で映画を見に行く、というのが実現した

『矢花ありがとうね』

『矢花君！お久しぶりです』

慶は久々に会う矢花になんだか緊張している様子だった、矢花も然り慶の成長スピードに驚いたようで目を白黒とさせながら私と慶を交互に見ていた

『慶君、かっこよくなったね〜』

『いやいや、矢花君には負けますよ！』

『絶対そんなことないでしょ…』

『矢花君、今なにやってるんですか？』

『サラリーマンだよ。普通のね、音楽系なんだけど、、』

『すごいですね…尊敬します、、』

『いやいや、慶君だって。聞いたよ？大学合格したんだって？おめでとう！』

初めて会った時は小学生だったのにね…って矢花がわざとらしく目頭を押さえる

『あ、ほら上映時間迫ってるよ。行こ？』

三人で並んで席に座って映画の始まりを待つ
トイレ行きたくならないかな…眠くならないかな…と心配している私をよそに二人はスクリーンに食いついてじっと映画を見る態勢を整えている

なんだか微笑ましいな、、

『ねーちゃん、始まったよ』

『うそ！』

ポップコーンやらポテトに気を取られているうちに映画の上映は始まっていたようだ
純白のドレスを見に纏った女優さんが涙を流す姿がスクリーン一面に映る

そこから病院に行ったり、キスをしたり…目まぐるしく状況が変わりいつのまにかタキシードを着た男性とさっきのウェディングドレスを着た女性が抱き合っていた

『なにこれ…どういう状況？全然読めない、、』

『しっ！今一番いいところなんだから！黙ってて！』

慶にそう言われてしまって私は状況の読めない映画をポカンと見ているだけだった

『…結局どういう話だったの？』

上映後、内容が分からず終いだったため慶と矢花に尋ねたところ、二人は大きなため息を吐いて私を見た

『感動したよね〜、矢花君？』

『うん、ほら…あのチャペルで抱き合うシーンなんか特に！』

『チャペルで抱き合うシーンなら私も見たわよ？…どういう事かはわかんなかったけど…』

『あそこが一番いいところなのにね〜』

慶がそう言いながらざっとあらすじを説明してくれた、ご丁寧に結末まで

二人して私のことを小馬鹿にするような目で見ていてなんだか腹立つ！

『まず、主人公の元に謎のウェディングドレスを着た女が現れるの』

『うん。そこまでは見てたよ？』