私はラメントーソ (ページ20)

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『しっかしさ、矢花。あんたって、指輪なんてつける趣味あったっけ？』

『好きなバンドのグッズなんすよ』

矢花がこれからなんて言って趣味の悪い骸骨が彫り込まれた指輪を見せてくる

『これいくらしたの？』

『二千円、、ぐらいしましたかね…』

『うわたかっ！ぼったくられてんじゃないの？』

『失礼ですね…』

二人でソファーの下やらラックの下やら探しているとまたうちのチャイムが鳴った

『出なくていいんすか？』

『…直接チャイム鳴らすって…私何か頼んでたっけ、、？』

普通、来客はエントランスの外のインターホンを押してから家に備わっているチャイムを鳴らす

…宅配業者は例外なのだけれど、、

『出るか！』

『早く出てあげてくださいよ、向こうも仕事なんですから！』

『印鑑が見つからないのよ！！』

『サインでいいんですよ！ほら！』

矢花からその辺に落ちていたボールペンが投げられたのでそれを受け取って玄関先まで走っていく

『すいません！遅くなってしまって！！』

勢いをつけて開けたドアの先には

『…矢花？』

克樹がいた

『…克樹？』

『なんで矢花がいるの？』

『克樹、これはね』

『髙さんこれは違うんですよ…』

私たちが必死の弁解をしようとする…けれど克樹の仮面のように固まった表情は一向に変わらず、…手遅れか、、とも思う

『何が違うの？いい加減にしてくれよ。二人でいつもコソコソコソコソ…出来てないって散々言うけどさ！信じられないよ。』

『ねえ！聞いてよ！矢花とは本当に何もないし…』

『何もなくて家に招くの？Aの家知り尽くしてますって感じだしてさ、俺にマウントでも取った気でいた？』

『髙さん、本当に俺、そんなつもりなくて…』

『そんなつもりなかったの？無意識にやってたの？…余計傷つくわ、、』

克樹は終始黙ったまま、靴を履いて外に出て行ってしまった

残された私たちの間には気まずさだけが残って、まともに会話ができなかった

『…矢花がもっと初めてっぽいリアクションしてくれればよかったのに…』

『何言ってるんですか？』

『だって、克樹は矢花がうちに来たことあるのをよく思わなかったわけでしょ？』

『あのですねえ、確かに俺にも非はありますけど、大体先輩本当に髙さんのこと大切に思ってました？』

『思ってるよ！』

『いっつも、振り回して大切にしてるとは思えなかったんですけどね…』

『うるさい！』