私はラメントーソ (ページ15)

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『ほら、食え食え。今日は俺の奢りだし』

嶺亜が澄ました顔で机に肘をついて枝豆を食べる
なんだか変な空気が流れていて私たち二人はそれに対して相槌をするくらいしかできなかった

『A。どう？最近』

『どうって？』

『友達とかできた？』

『友達って…私もう社会人だよ？』

『会社に同世代の女の人ぐらいいるだろ？まあ、男でもいいけど』

『う…、そんなに仲良くはないけど』

なんだか今日の嶺亜は少し攻撃的だ
どうして…

『別にもうこの年になれば友達なんていいよ！』

『お前友達の一人も出来たことないくせに、わかるの？』

『嶺亜ひどい！嶺亜こそ…その恋愛…』

言いかけたところでハッと気づいて口をつぐんだ
…私今、何言おうとしてた？

自分が少し嫌な事言われたからって、嶺亜に仕返ししようとしてなかった？

なんて意地悪なんだろう

『なに？』

こういう時に限って嶺亜は優しい顔でこっちを見つめてくるもんだから、本当にわからない

『大丈夫？二人とも、なんか今日おかしいよ？』

『…ごめん』

克樹に落ち着いて、なんて言われて自分の幼稚さを実感する
…こんなんじゃダメだ、、

『A。ごめん。ちょっとうまく行かないことがあって…お前に当たっちゃった』

うまく行かないこと…？
仕事とかかな、、

『ううん、私こそ…ごめん』

せっかく飲みに来たのに、三人で微妙な空気になってしまうのは嫌だったから二人の仕事の話に話題を変えたりして、なんとか平和を保っていた

『どう？嶺亜、最近寝れてるの？』

『まあね…仕事以外で忙しいことあってさ…』

『なにそれ、まさか恋人？』

『違うよ。家族がちょっと体調崩しててさ、』

『そうなの？大丈夫？』

『うん、平気。まあ俺は、その世話で2キロ痩せたけどね』

確かに、改めて嶺亜の腕、足、顔を見ると電車であったあの時より少し痩せたなと思った

『きちんと食べてる？ほら、もっと注文しなよ！』

『バカ、払うの俺なんだけど』

『そ、それはそうだけどさ…』

嶺亜の調子が大分元に戻っていて安心したのも束の間、携帯の音が鋭く鳴り響いた

嶺亜は携帯を持つとそそくさと店の外に行きなんだか険しい顔で何かを話している

『…嶺亜、大丈夫かな…』

『A……あ、ほら。頼んだやつ来たよ。食べよ食べよ！』

『…うん、、』

なんだか店の外に出ていく時の嶺亜が儚くて私は目を背けることができなかった