私はラメントーソ (ページ14)

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酔いから覚めて、急に思い出した

そういえば【矢花は異性愛者】であった

つまり、こう言ってはなんだけど嶺亜に勝ち目はないということだ
…昨日のうちに思い出しておけば…

すぐに克樹にメッセージを送ろうとしたら、少しの差で向こうから矢花と嶺亜にメッセージを送っておいたというか文章がきてしまった

…しまった、、遅かった、、

しかし、矢花にその気がないと分かっているのに嶺亜にも矢花にも探りを入れるのはあまりにも酷な事だ
メッセージを見る限り、克樹は今日、嶺亜と飲む約束を取り付けたらしい

…反対じゃなくてよかった、、
そう思いながら、私は克樹に返信を打つ

矢花が異性愛者であるということはとても残酷な事実であるけど、これを言わないまま嶺亜に下手な期待をもたせたくない…と思う

私は克樹に、矢花は女の人が好きと言う事、この事は下手に二人に言わないでほしいという旨のメッセージを送って携帯を伏せる

人の恋愛なのになんだか勝手に落ち込んでしまって心がモヤモヤとし続けていた

嶺亜や克樹に会うために一応準備をするけど、どうも乗り気になれない

…なんだか嶺亜に後ろめたいような気持ちがあってどうしても会うことに前向きにはなれなかった

重い足取りで鍵をかけて家から出ていくけれど、やっぱりなんだか行きたくなくて家に戻ろうとしてしまう

黒い傘で日光と自分の焦りを遮断しながら目的地まで向かう
途中で何度も漠然とした不安に襲われたけれど、知らないふりをしてどんどん、ただ前へと歩いて行った

『あ、克樹？』

やっとの思いでなんとか着いたそこにはこの間より少しやつれた嶺亜とあいかわらずかっこいい克樹がいた

『この三人珍しいね』

『うん…』

『じゃあ行こっか。そこの店、予約してるから』

…克樹が何を言い出すのかといつもヒヤヒヤしてしまって二人の会話が全く頭に入ってこない

店に入って、嶺亜、克樹。向かい側に私という配置で座る

目の前にはなんだか色っぽくなった嶺亜がいて少しだけ心が高鳴る

『てかさ、なんでA達一緒にいんの？もしかしてより戻した？』

嶺亜がいきなり核心をつくようなことを聞いてきて、一人でハラハラとしてしまう。しかし、克樹は顔色ひとつ変えず『そうだよ』と言い放った

『へ〜、そんなこともあるんだね…』

嶺亜がなんだか興味なさそうに言ってくるのにまた少し心が痛んだ