. ページ9
『…いやー、家族愛っていいわ〜』
『ちょっとこんぴー良いところだったのに台無し!』
空気の読めないこんぴーが空気の読めない発言をして場が暫し凍りついたけど、慶君も先輩もお母さんも中村さんもみんな嬉しそうでこっちまで何故だか嬉しくなった
『慶何モジモジしてるの?』
先輩の声に反応して俺らも一斉に慶君の方を向くと、そこにはなんだか恥ずかしそうにしている慶君がいた
…トイレに行きたいのかな、、?…いやそんなわけないな。自分の家でトイレが行きたくてもじもじする奴がどこにいる
『慶君どうしたの?』
俺が問いかけてもはっきりした返事はなくあーとかうーとか唸っているのを聞く事しか出来なかった
だけど俺は、慶君の目がしっかりと中村さんを捉えている事に気付いてなんとなく思うところがあった
『慶、どうしたんだろ』
『もしかして慶君、中村さんに何か言いたいんじゃないですか?』
『お義父さんに?』
『ほら、見てくださいよ。慶君ずーっと中村さんのこと見てますよ?』
『…本当だ』
もう一度慶君を見てみるけど、やっぱりその視線の先には中村さんがいて予想が確信に変わっていくのを感じた
『…あ、あの!』
慶君から発されたと思えないほど大きな声に皆がびっくりして視線が自然と彼に集まる。もちろん中村さんも彼を見ていた
『…慶、そんなに大きな声出してどうしたの?』
『あんたがそんな大きな声出すなんて珍しい』
慶君…頑張れ!
『…留学の事とか教えてくれてありがとうございました…!貴方がいなかったらどうにもならなかったと思います。ありがとう
…お父さん、、』
…お父さん?今、お父さんって言った?
『…慶君って中村さんの事お父さんって呼んでましたっけ?』
『ううん、…一度も呼んだ事ないわよ』
『じゃあ初めて?』
目の前を見るとすごく嬉しそうな中村さんと照れ臭そうな慶君がいた
…なんだかこっちまで本当に嬉しい
慶君…がんばったね
横の先輩もなんだか感極まったような顔をしているのがなんだかまた俺を感動させた
『慶君、若いんだから留学先で沢山の事を吸収して来なさい。いい事も、悪い事も…だ。たまには連絡頂戴ね』
『うん、、ありがとう!』
中村さんが慶君を軽く抱きしめる
なんだか映画のワンシーンみたいで皆の感情が昂っているのを肌で感じた
…うん、いい家族だ
134人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年4月15日 22時