僕はアンプロンプチュ (ページ46)

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…当分距離を置く

はっきり言って仕舞えば絶縁ということなのだろうか

『そんな！育ててあげたのにそんな仕打ちってある？……慶、そうだ慶は？慶はどうなるのよ！』

怒りの矛先が慶君の方に向かい、少し心配になるも、当人はすぐに大人びた表情になって、

『俺も姉ちゃんと同じ気持ちだよ』

と、何の濁りもなくはっきりと言い放った
きっと末っ子だから慶君のことはあんな感じでも溺愛してきたのだろうと感じる

末っ子ってそんなもんなのではないか、、

だからこそ、そんな慶君の言葉によって一気に先輩のお母さんは顔を青ざめ、生きる気力一つさえないと見て取れるように感じられる

『母さん、ごめんね。でも俺…』

慶君の言葉が詰まる
大人びていると言ってもまだまだ未成年だ

俺がのうのうと生きていたあの時代に慶君はなんて辛くて、やり場のない感情に落とし込まれているのだろうと感じる

『とりあえず、今日は二人とも帰りなさい。慶君は泊まるところある？』

『はい、今日はとりあえず姉ちゃんに泊めてもらおうと思います、、』

『二人とも気をつけるんだぞ…矢花君。Aちゃんの事よろしくね…』

中村さんはやっぱり未だに俺のことを先輩の恋人だと勘違いしているようだ
…まあそうさせたのは俺たちなんだけど、、

にしても…中村さん本当に先輩と慶君の保護者みたいだな…
実の両親であるあの二人よりもずっと

『…なんかごめんね、今度矢花の好きなもの奢るからさ、何でも頼んでよ』

『矢花君本当にありがとう、、』

『全然いいっすよ！それにしても大変でしたね、、』

『まあ私は？なんとなく自分の母ながらお母さんとソリが合わないって思ってたところだったからさ…まあそんなにショックでもないけどね…』

確かに先輩が自分の母親の言動に対して首を傾げるなどと言ったことは意外と俺も見る機会があった

『…でも慶からもほぼ絶縁みたいなことされちゃって…あれはさすがに応えたんじゃないかな～、、お母さん、慶の事大好きだったし』

『本当、親って上より下可愛がりますよね』

『あ、わかってくれる？要領がいいのよね〜こ、い、つ、は！』

先輩が一文字一文字強調するように慶君の頭をぐりぐりとする

『俺も妹いるんで分かりますよ。結局、親って下には甘いんすよね〜』

『下は私たちを見て親の目を掻い潜る方法を学んでいくのよ…本当羨ましかったな〜』

案外普通な会話が出来るんだなと少し安心した