僕はアンプロンプチュ (ページ40)

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『あと…Aちゃん、奨学金も私に任せてくれないかな？』

『そんな、、中村さんにそんな負担をかけるわけには…』

『そうですよ！私なら平気です』

中村さんのなんとも優しい提案に先輩と先輩のお父さんがしどろもどろになりながらも丁寧にお断りしている

『さっきと言ったけど、私には子供がいないからね…この四年間、仮にも君たちの父親として過ごせて本当に幸せだったんだ。』

『…中村さん、、』

『慶君は頑張り屋さんで、意外と気が強くて、しっかりしてる芯の強い優しい子で、Aちゃんは愛嬌があって、自分の道を自分で切り拓く力のある逞しい子だって事が分かったよ』

…すごい、本質を見抜いている

『私は、君達が子供だったからこの四年間、妻の豪遊や少しの違和感は見ないふりをしてきたんだ。それも、限界が来てしまったようだけどね、、』

つまり、先輩のお母さんはずっとお金の使い方に難があったという訳か…
先輩も先輩で気付かなかったのか？

『…ごめんね、私は君のお母さんと離婚しようと思う』

『謝る事ないです。寧ろ、離婚してください。中村さんみたいな素敵な人お母さんには勿体無いです、、いい人見つけてくださいね』

先輩が泣きそうになりながらも中村さんに必死に絞り出したような笑顔を向ける

…見てるこっちの心が痛くなってきた

『こんな血も繋がってないやつとって思うかもしれないけど…この先も君達の第二の父親をやらせてもらえないかな？』

中村さんがいつもの優しい顔をさらに優しく変化させて先輩の肩を叩く

先輩は子供みたいに声を上げて泣いていた
その姿を見て先輩にもこんな事があるのか…と、軽く驚く

先輩のお父さんはなんだか居づらくなったのかなんなのかはよくわからないがその場をそっと立ち去った

『ありがとう…

　お父さん、、』

その言葉にまた中村さんが涙ぐむ
…冷たいかもしれないけど、俺。なんでここいるの？俺、邪魔じゃない？

一件落着…
と、思われた時に俺の携帯にこんぴーから連絡が入った

『おい！お前ら何やってんだよ！』

『今ちょっと手が離せなくて…』

『そんな事言ってる場合じゃねえんだよ！早く来い！』

『えっ？…え？』

『もちろんAもだぞ！』

こんぴーはそう言うと電話を切ってしまった

『先輩！こんぴーがなんか急げって言うんですけど！』

『え？なに？私何かした？』

『知りませんよ！行きますよ！』