僕はアンプロンプチュ (ページ23)

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先輩と嶺亜君の奢りで散々飲み食いした後、みんながろくな片付けもせずに帰ってしまったので仕方なく先輩と二人で黙々と飲み残し、食べ残しをどうにかする

『…大丈夫ですか』

…しばらく沈黙が流れる
まあ、しょうがない。いきなりあんな事を言われたから気が動転していてもおかしくはないだろう

『いや、全然大丈夫』

『本当に全然大丈夫そうですね。吹っ切れたんですか？』

『うん、私自身は吹っ切れたんだけどさ、…どうも腑に落ちない事があるのよね、、』

『腑に落ちない事…？なんですか？』

『矢花は気付かなかった？…嶺亜に好きな人がいるって』

…好きな人、、？嶺亜君に？

そんな素振りなかったし、むしろ今の今まで嶺亜君は本当は先輩の方が好きなのではないかと思っていたくらいだ

『…気が付きませんでした、、ていうか、なんだかんだ先輩の事が好きなんだと思ってました』

『いやいや、私、矢花の前でもこっぴどく振られたでしょ？あれでなんで脈がある事になるのよ？』

『だけど、嶺亜君の新しい彼女さん、先輩も見ましたよね？』

『うん』

『何か思う事ありませんでした？』

『思う事？』

俺から見たら、嶺亜君の彼女さんと先輩はそっくりなんだけど意外と本人は気が付かないものなのだろうか、、

『…あの人、先輩にそっくりです』

『…嘘』

先輩の表情が固まる
…まさか本当に気づいてなかった？

『…どうして？、、、なんでだと思う？矢花』

『俺に聞かないでくださいよ』

『冷たいなぁ』

『単純に先輩が好きなんじゃないですか？』

『それはないよ、それだけは絶対にない』

確かに先輩は嶺亜君に振られていたけど、ここまで頑なに否定をする理由ってなんなんだろう

『どうして、そこまで否定するんですか？』

『逆にあんな振られ方してどうして嶺亜が私のことを好きだと思えるの？』

まあ、一理ある

…だけど

『これは俺の勝手な想像に過ぎないんですけど、嶺亜君がバンド名を変えた理由って先輩にあるんじゃないかと思うんです』

『私が原因？』

『お客さんが七人目だとかキザなこと言ってましたけど、きっと先輩のことを入れたかったんじゃないですかね〜』

先輩が少し考えてまた、嬉しそうな表情をした
…先輩ってこんな表情もできるのか！とびっくりしてしまう
また先輩は寂しそうな顔でこうも言った

『…だけどそれは恋愛じゃないんだってよ。…私にはまだわからないけどね！』