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矢花に手を引かれて授賞式には参加したものの、もちろん名前は呼ばれなかった
私としては授賞式よりもギャラリーの方が気になってしょうがなかったから不審者のようにキョロキョロと目を泳がせたものだ


もちろん、矢花はそこにいる。だけど、そこにいたのは矢花だけだった
琳寧君も…もちろん嶺亜もそこにはいなかった

…まあ、当たり前か
単なる一後輩である私の演奏を見に来てくれただけでもありがたいのに、受賞しないとわかっている式を見に行く奴がどこにいる?



私は矢花に手伝われながらとぼとぼと片付けを終え、彼が予め呼んでくれたタクシーに二人で乗り込んだ



『どこのラーメン食べに行きます?』

『そうだな、、大学の隣の駅の家系ラーメンの店あるじゃん。あそこ行かない?』

『いいですね、あそこからなら徒歩で大学行けるし』



運転手さんに新たな行き先を伝えると、スピーディーに目的地まで向かってもらった



『だけど、嶺亜君も先輩が来てくれて嬉しかったでしょうね、、ずっと一人でやってたんですから』

『そうかな…そうだといいんだけど』

『大体、どうして二人は知り合ったんですか?』

『確か…』


そう、確かあれは入学式の次の日。
サークル勧誘の波に揉まれている私の腕を掴んでそのまま自分のサークルに勧誘していったちゃっかりした男がいた。それが嶺亜だ



『半ば強引にサークル勧誘されたのよ』

『あの嶺亜君がね〜。よっぽど先輩に何か感じたんですかね』

『そんなわけないじゃん』



二人で他愛もない話をしていると、いつの間にか目の前には赤い看板の目的地


『うまそうですね』

『うん!ラーメンなんて矢花としか来れないし』

『嶺亜君は?』

『狙ってる男は無理。それなら一人で行くわ』



先輩なんかいつも通りですねって矢花がいつも通りに笑う
その笑顔がなんだか嬉しくて調子に乗ってラーメンとつけ麺をダブルで頼んでしまった



『まあ本格的に友達が矢花だけになったって事で、これからもよろしく』

『一年ちょっと大学にいて他に友達できなかったんすか?』

『高校三年間でできなかったんだから大学でできるわけないでしょ』

『なんなんでしょうね、何か致命的なものがあるとは思えませんけど、、…あ、ラーメン来たみたいですよ』


机上に置かれたラーメンはねぎ、メンマ、チャーシュー、のり、ほうれん草、煮卵と大変バラエティに富んでいてなんだかコンクールの疲れとか恋愛の疲れとかが一気に吹っ飛んだ気がした

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マリエ(プロフ) - ハルカさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年4月9日 16時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 良すぎて一気読みしてしまいました……お忙しいかとは思いますが続き楽しみにしております! (2022年4月9日 2時) (レス) id: 17cc79c11f (このIDを非表示/違反報告)
マリエ(プロフ) - 松さん» そのように言ってくださって本当に嬉しいです!完結まで是非宜しくお願い致します。 (2022年3月29日 19時) (レス) @page35 id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして!めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年3月28日 23時) (レス) @page35 id: 309f0f86b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231  
作成日時:2022年2月23日 16時

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