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「もしもし、隆二さん？」
「…………違いますけど。」
「えっ！？」
じゃあ私は一体誰に電話をかけたんだ？
一度耳から離した携帯の画面を見たけど、発信相手は確かに隆二さん。
「隆二さんの携帯ですよね？」
「そうですけど。」
でも、声だって隆二さんだと思うんだよなぁ。
ていうか絶対、隆二さんなのに。
「隆二さんでしょ？」
「そうだけど、違うでしょ？」
「酔ってるんですか？言ってる意味が全然わかんない。」
「なんでわかんないの？隆二さんじゃないって言ってるんだよ？俺。」
「じゃあ誰？」
「この前はすぐ言ってくれたのになぁ。」
この前？
隆二さんだけど、隆二さんじゃない。
だから誰…………あっ……。
「隆二？」
「うん、どうしたの？」
呼び方か。
「すいません、隆二さんって呼び方が馴染んじゃってて。」
「慣れてね。」
「うん。」
「なにかあった？Aから電話なんて珍しいよね。」
「あっ、うん。」
「どうした？」
「木曜なんだけど、仕事になっちゃって。」
「そうなんだ………会うの難しそう？」
「ううん、夕方には終わるから。」
「休みなくなったの？」
「ですねぇ。でも本社の人たちがサロンの様子見に来るから行くだけで、私は特に仕事しないし。話するだけなんで。」
「店長だもんね。俺のことは気にしなくていいよ。」
「すいません。」
「無理するなよ？」
「うん。」
文句一つ言わず心配までしてくれて、心が広い隆二さん。
どこまで私の心を鷲掴みする気なんだろう。
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作者名：taka
| 作成日時：2017年3月3日 22時
