story73 ページ12
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暖かい春が来て、隆二と私は結婚式の準備を本格的に始めた。
休みがなかなか取れない隆二だけど、頻繁に式場のプランナーさんと連絡を取ってアレコレ決めてくれている。
式の準備中は喧嘩が多くなるなんて事を聞いたことがあるけど、私たちはいたって順調。
今のところは。
「今日、ドレス見に行くんだよね?」
「うん、一人寂しく試着してくる。」
「………ほんと、ごめんね。一緒に行けなくて。」
「仕事だからしょうがないよ。」
「早く終わらせるから、指輪は一緒に作りに行こう。」
「うん。」
納得してるようで少し不機嫌な私に気付いた隆二は、後ろからぎゅっと抱きつく。
洗い物をする私に。
朝からしつこいくらいキスを頬に受けて、機嫌はなんとか回復。
「行ってくるね。」
そう言ったくせになかなか玄関を開けようとしない隆二。
手だけは扉の取っ手を握って、ジーッと私を見つめてる。
「どうしたの?遅刻しちゃうよ?」
「遅刻したらAのせいね。」
「なんで!?私なにもしてないし!早く行きなよ!」
「行くから早く!」
「なにを?」
「いってらっしゃいのキス、して。」
私の腕を引っ張ってキスを待つ隆二。
肩に手を置いて背伸びをすれば、腰を片腕で引き寄せる。
「いってらっしゃい。」
見送りの言葉の後にした私からのキスは、隆二ペースの深いモノに変わった。
「………んっ、りゅう……じ、」
「ん?」
「じ、じか………んんっ、」
「平気……ちょっと、だけ。」
自分からディープなキスを誘った隆二は歯止めがきかなくなった。
玄関の扉に押し付けられた身体は隆二の指で火照りだす。
「すごいよ、A。」
下着に滑り込む指が私の身体をピクッと跳ねさせる。
「……りゅう……じ、やっ…」
下ろされかけた下着をぎゅっと握ると、隆二は唇から離れておでこを合わせた。
「じゃあ、仕事に行こうかな。」
イタズラに笑う。
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作者名:taka | 作成日時:2016年12月6日 22時