* ページ49
.
「Aちゃん、大丈夫?」
目尻から流れた涙をそっと指で拭われて、頭を優しく包まれて、肩に引き寄せられた。
「寂しいよね」
ポンポンと頭を撫でながらそんな事を言われたら、もう流れる涙を止められなくなった。
「泣きたいだけ、泣いていいよ。俺の胸貸すって約束したもんね」
この優しさに甘えていいのか迷う。
弱ってる時にこんな風にされたら好きになっちゃいそうだよ、隆二くん。
ゆっくり見上げると紅く艶のある唇が視界に映る
その唇が、また心揺さぶる言葉を囁く
「俺なら………こんな想いさせないのに」
柔らかい親指が頬を左右になぞって、潤う瞳が私だけを捉える
見つめ合ったまま、吸い込まれるように
2人の唇が重なった。
初めて会ったパーティーの夜のように、だんだんキスは深くなる。
絡み合う舌に意識が朦朧として、隆二くんの洋服をギュッと掴んだ。
ダメだと頭では思ってるのに体は離れようとしなくて、隆二くんとのキスに溺れていく。
私、最低だ。
これって、浮気だもん。
こんな事をするつもりなんてなかったのに。
敬浩さんのこと、すごく好きなのに
好きな…………はずなのに。
ほんと、最低。
苦しくなって、唇を少し離したら
頭を支えていた大きな手に力が込められて、もう一度塞がれた。
目を開いたら、色っぽい瞳と視線がぶつかって
胸が更にドキドキと音を鳴らす。
「好きだよ、Aちゃん」
吐息混じりの声で小さく呟いた隆二くん。
私は、聞こえないフリをした。
1133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時