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「Aちゃん、大丈夫?」









目尻から流れた涙をそっと指で拭われて、頭を優しく包まれて、肩に引き寄せられた。









「寂しいよね」









ポンポンと頭を撫でながらそんな事を言われたら、もう流れる涙を止められなくなった。









「泣きたいだけ、泣いていいよ。俺の胸貸すって約束したもんね」









この優しさに甘えていいのか迷う。









弱ってる時にこんな風にされたら好きになっちゃいそうだよ、隆二くん。









ゆっくり見上げると紅く艶のある唇が視界に映る









その唇が、また心揺さぶる言葉を囁く









「俺なら………こんな想いさせないのに」










柔らかい親指が頬を左右になぞって、潤う瞳が私だけを捉える









見つめ合ったまま、吸い込まれるように









2人の唇が重なった。









初めて会ったパーティーの夜のように、だんだんキスは深くなる。









絡み合う舌に意識が朦朧として、隆二くんの洋服をギュッと掴んだ。









ダメだと頭では思ってるのに体は離れようとしなくて、隆二くんとのキスに溺れていく。









私、最低だ。









これって、浮気だもん。









こんな事をするつもりなんてなかったのに。









敬浩さんのこと、すごく好きなのに









好きな…………はずなのに。









ほんと、最低。









苦しくなって、唇を少し離したら









頭を支えていた大きな手に力が込められて、もう一度塞がれた。









目を開いたら、色っぽい瞳と視線がぶつかって









胸が更にドキドキと音を鳴らす。









「好きだよ、Aちゃん」









吐息混じりの声で小さく呟いた隆二くん。









私は、聞こえないフリをした。

作者より。→←*



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作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時

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