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「心配なんてしなくていいから。俺の問題だし、Aちゃんに話してどうにかなる事じゃないし」
突き放すような言い方……
斜め下を見る隆二くんと目も合わなくて、この場にいることが苦しくなった
「……………そうだね。私には分からないよね。ただ、隆二くんが少しでも楽になれたらって思ったんだけど……ごめん、余計なこと……」
なにが出来るかなんて分からないし、隆二くんの気持ちを理解するのは私には難しいことだけど
私と話すことで隆二くんが笑えたら、友達として何か力になれるんじゃないかって思ったの。
何も言い返してこない隆二くんに背を向けて歩き出す
不甲斐ない自分に胸が締め付けられて涙が出そうになる。
ゆっくり開いたエレベーターに乗り込む寸前、無意識に隆二くんの姿を目に映そうとした私が捉えたのは
小さくなっていく、彼の後ろ姿。
いつも見ていた大きくて頼もしい背中が、
今は遥か遠くにあって、
手を伸ばしてもきっと届かない、
冷たく、私から離れていく。
隆二くん、どうして?
いつから、私たちの間にこんな大きな亀裂が入っちゃったんだろうね。
またいつか、笑って話せる日はくる?
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「A、今日は何食べたい?」
「………あまり、お腹空いてないかも」
あれほど敬浩さんと会えるのを楽しみにしていたのに、窓から外を眺めてばかりの私。
「体調悪い?なんか、元気ないよ?」
「そんなことないよ?お昼食べ過ぎちゃったかな」
私、ちゃんと笑えてるかな……
心にぽかりと空いた穴を埋めてくれるのは、敬浩さんだよね?
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作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時