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「はいはーい、この恋愛マスターあんちゃんがAさんの悩み聞いちゃうよ〜!」

『…』

「なんで反応してくれないの!?」

はいはい、とあしらいながら、私は店員さんにカクテルを注文した。

わざわさ居酒屋の個室を予約して、私は杏に恋愛相談をしようとしていた。

私に頼られるのがよっぽど嬉しいのか、彼女はいつもより更に口数が多く、上機嫌だった。

「それでそれで?何を聞きたいのかなあ???」

彼女のにんまり顔に少しイラっとしながら、私は安室さんとの事を話した。

助けて貰った日からずっとなんと呼べばいいかわからない関係が続いている事だ。

「え〜、それってさ…」

珍しく杏が言い淀むので、私は『…何?』と食べる手を止めて急かした。

「言い難いけど、せふれってやつじゃない?」

『…せふれ…?』

私は料理名のわからないごぼうをぽりぽり咀嚼しながら考えた。

子供じゃない。その単語の意味くらい知っている。

そしてその言葉の定義と、私たちの関係はぴったりに思えた。

『…それって、安室さんにとって私は…何?』

ん〜、と彼女もごぼうを頬張りながら考える。

「まあ、私はその人と直接喋った事ないし、分からないけど、その関係だけ聞くとAは大事にされてないよね」

杏が言葉をオブラートに包んだのが分かった。

つまり私は欲求処理に使われているのでは、ということだ。

『…そ、っか』

「あ〜…まあ、もう少し様子見てみたら?体から始まる恋だってあるし!」

珍しく気を使う彼女を見て、これは気を使われるような可哀想な出来事なのだと、他人事のように分析する。

思ったより私はダメージを受けなかった。

心のどこかでわかっていたのかもしれない。

『…わかった、そうしてみる』

私はそう言って、私の嫌いなトマトを彼女の口に突っ込んだ。






それから、私はかなり注意深く安室透という男を観察し始めた。

彼の部屋を気づかれない程度に見てみたり、携帯に着信があればちらりと名前を確認したりした。

得意のハッキングをも使って、何か彼の情報を掴めやしないかと模索した。

そして私は知る事になる。








「降谷零…」








自分が安室透という虚像に踊らされていたことを。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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ピカチュウ - 面白いです!!安室が、目を覚まさないまま終わりは嫌です。だから、更新頑張ってください!!! (2020年9月15日 6時) (レス) id: 59772e939d (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - 続き待ってます! (2020年8月20日 11時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 続きが気になるところで終わらせますね!?更新頑張ってください! (2020年6月5日 11時) (レス) id: da120451b3 (このIDを非表示/違反報告)
MONACA(プロフ) - 続きはないんですか??? (2020年4月13日 14時) (レス) id: 21fce29ea8 (このIDを非表示/違反報告)
空白@吹部@Tp@不定期浮上(プロフ) - こういうラストってありなんですか、、、!?(混乱) (2020年4月11日 7時) (レス) id: 16e27b9642 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:椿 | 作成日時:2020年1月29日 14時

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