＿急展開 ページ22
｢…っ、だから、この子は
道具以外の何ものでもないって言ったのよ！
これで満足っ？！｣
｢そっかーっ！
バカなんだね！
すっごくバカな僕でも、よく分かった！｣
ニコリと笑いながら言う十四松は、
物凄く怖かった。
｢少なくとも、そんな事言う人の方が
僕は要らないんじゃないかと思うんだけどなー！
でも、そんな事言わないよっ！？
可哀想だからねー！｣
プライドの高いアイツは、顔を真っ赤にさせていたが、私は十四松に引っ張られて家を出た。
｢十四松、ありがとうございました。
吹っ切れたので、独りで生きていきます。｣
自転車を押しながら歩く。
｢…ごめんね。｣
｢何で謝るんですか。
私はあの展開で良かったですよ。
なんとなく、スッキリしました。｣
｢だって、僕…｣
許しているのに、まだ謝る十四松。
｢＿＿いいよ、十四松。謝らないで。｣
その私の言葉に、十四松はバッと顔を上げた。
｢敬語、無くなってる…！！｣
｢面倒…だったからね。
それに、十四松は私を救ってくれたトクベツな人だから。｣
｢ふふっ、ありがとー！
何か温かいねー、ふわふわしてるー。
そして、苦しいんだけど心地いい感じ…
分かる？｣
｢何となく、分かる。｣
モヤモヤしてるんだけど、このままでいたい感じ。
｢僕ねっ、思いついた！｣
＿僕の笑顔をAちゃんのカプセルに詰め込むのはどーかなぁ！
｢…恥ずかしいこと言わないでくださいよ…｣
｢あっ、敬語ー！｣
｢だって…これは十四松が悪いもん。｣
｢可愛いねー！｣｢やめてよ。｣
｢やっぱり僕、自分が思うよりもAちゃんのこと好きみたい…！｣
｢っ…恥ずかしいってば。
それに、“好き”なのか、分からないし…｣
分からないと言っても
私も十四松のこと、好きなのかもしれないな。
でも今は曖昧なくらいで丁度いいのかもしれない。
逆にハッキリしない方が私たちらしいしね。
ただ、一緒に笑っていられるだけで充分かな。
十四松の、その太陽みたいな笑顔を見られたら
幸せなんだよ。
｢十四松、カプセルから溢れる程の笑顔を私に頂戴ね…？｣
｢まっかせてーっ！｣
｢あの十四松に彼女…｣
｢Girlか…どこで何があったんだ？！｣
｢女の子にハメられてるんじゃ…｣
｢十四松に限って、それはない。｣
｢一番彼女出来なさそうな十四松兄さんがっ？！｣
｢私は彼女じゃありませんっ！！｣
『絶対嘘だっ！！』
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作者名：イチゴミルクティ。 | 作成日時：2021年2月6日 23時
