きみと春を待つ ページ27
「それはない！」
こぼれ落ちた言葉に一番驚いたのは、他でもない俺だろう。
言葉を吐き捨てその場からそそくさと逃げ出そうとするAを逃すまいと俺は右手を掴んだ。
手をとられたにも関わらずAは振り向きもしなかった。
やれやれどうしたものか…。
次の言葉に悩んでると先に口を開いたのはAだった。
「デリカシーがない」
「あ”？」
「どうして今、そういうこと言うかなと思ってさ…」
俺にデリカシーがないなんて、今に始まったことじゃないだろう。
「悪りぃな」
ひとまずはこう言っておくべきだろうか。
こちとらこの性格で16年生きている。
すぐに変えれるならソッコーで変えたいものだが、現実はなかなかそうはいかない。
「その謝り方悪いと思ってないでしょ」
「…(バレたか)」
さすが付き合いが長いだけのことはある。
思考回路が完全に読まれている。
「元はと言えばお前が言ったんだろ」
「大樹と杠、あいつらが付き合ったら寂しーーーっと…」
隙を見てもう一度逃げ出そうとするAの右手をまた強く引いた。
「おい」
「もー！思い出させないで！さっきのこと記憶から消そうとしてるんだから！」
やっとこちらを向いたAの顔は赤く染まっていた。
これは、なんだ？どういうことだ？
大樹と杠はお互い好きあってる。それは前からわかってたことだ。それに対して寂しいという彼女に『じゃあ付き合うか？俺らも』と言った途端、これだ。
「さっきの返事。やっぱりないのか？」
「ない」
「じゃ、俺はフラれたのか？」
「そうじゃない？」
こいつ開き直りやがった。
今までしょっちゅう俺に好きだとかなんだとか言ってたのはなんだったのか。
勝手に楽しくなってたのは俺だけだったってことか。
「理由は？」
「決まってるじゃん」
「なんだよ？」
Aはフン、と鼻息を荒くして胸を張る。
「千空は最高にカッコいい男だから最高にカッコよくて最高なシチュエーションで告白してよ」
「…。」
「あ、そ」
なるほど。
やっぱりこの女はどこかおかしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいやき(プロフ) - 小麦粉さん» ありがとうございます！何か思いついたらまた更新できるようにします！ (2019年12月16日 3時) (
レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
小麦粉(プロフ) - はしまして！全作品読ませてもらいました！凄い好みで読めて嬉しかったです。続きを待ってます！ (2019年12月15日 8時) (レス) id: 738efae2c3 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» こちらこそリクエストありがとうございました！感想も嬉しいです！^_^ (2019年11月29日 6時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - たいやきさん» こんにちは。hとχの続き、読ませて頂きました！こんなに早く上げて頂けるとは…本当にありがとうございました！千空が自分をヒョロガリと称するの可愛いかったです笑 (2019年11月26日 14時) (レス) id: 1198a4bf74 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» ありがとうございます。私も学生時代に想いを馳せたつもりです！笑 リクエストありがとうございます。後ほど書いてみたいと思います！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たいやき | 作成日時：2019年10月24日 11時
