ハロー・マイラヴァーズ3 ページ11
「彼女の名前はA」
「彼女が石化から解かれたことは確かだが、どうやら以前の記憶がほとんどないらしい」
「自分の名前や年齢など断片的な記憶はあるようだ」
コクヨウはルリから言伝された彼女の容態をざっくり説明した。
定期的に開かれる石神村の有識者会議。
千空は胡座を組んで黙ったままだった。
「何か心当たりはないか 千空」
クロムは緊張の面持ちで千空を見る。同じくしてカセキ、ターコイズ、ジャスパーも千空を見た。
「…。
ないわけじゃねぇがーーー」
少しの沈黙の後口を開いた千空は複雑な顔をしている。やや自信がないのか「確証はないが」と先に言葉をつけた。
「おお、かまわん。それを是非話してくれ」とコクヨウは嬉しそうに声色を変える。
その場にいる全員が千空の一言一句に注目していた。
「石化中は、脳が働く」
「うんうん」
「逆に言えば、脳だけしか働けねぇ」
「ふむふむ」
ーーーゴクリ、と息を飲む会議室。大丈夫、まだ理解できるぞ。
「つまり」、と千空は繋げた。
「石化中、脳炎のようなものにかかり脳の一部が損傷、記憶が喪失している可能性が高い」
……。
「？」
まず「脳炎」という言葉が理解できていない村民は瞬時にはてなマークを浮かべた。
最初に沈黙を破ったのはクロムだった。
「【脳】炎ってことは、脳の病気か？」
「石化はどんなことも治しちまうんじゃねぇのか？脳は別ってことか？」
「おおーーなるほどさすがクロム！」と会議室が色めき立つ。千空は「そうだな」と頷いた。
「クロムの言う通り脳も一緒だ。治ってる」
「だが、失われた記憶は戻っていない、わかるか？」
ほぼ全員がわかりません！！という顔をしたので千空は続けた。
「分子、イオンチャンネル状態、酸素、細胞、シナプス、転写プログラム、ニューロンネットワーク全体…脳のどこを探しても人間の記憶の蓄えられてる場所は見つかってない」
「人間の記憶なんてのは、物体として存在するモノじゃない。システムなんだ」
「我々はどうしたらいいんだ？」
小難しい単語を頻出させる千空に痺れを切らしたコクヨウが結論を急がせた。
とにかくコトの発展より結論を聞きたがるのは大人の悪い癖である。
「直すことができるのは過去にあいつと触れ合った可能性のある連中だな」
「あいつの記憶を呼び起こすしかねぇ」
あいつの記憶。システム。
杠、大樹、あさぎりゲン、それからーーー俺だ。
ーー
主人公が全く喋らない… 続く
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たいやき(プロフ) - 小麦粉さん» ありがとうございます！何か思いついたらまた更新できるようにします！ (2019年12月16日 3時) (
レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
小麦粉(プロフ) - はしまして！全作品読ませてもらいました！凄い好みで読めて嬉しかったです。続きを待ってます！ (2019年12月15日 8時) (レス) id: 738efae2c3 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» こちらこそリクエストありがとうございました！感想も嬉しいです！^_^ (2019年11月29日 6時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - たいやきさん» こんにちは。hとχの続き、読ませて頂きました！こんなに早く上げて頂けるとは…本当にありがとうございました！千空が自分をヒョロガリと称するの可愛いかったです笑 (2019年11月26日 14時) (レス) id: 1198a4bf74 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» ありがとうございます。私も学生時代に想いを馳せたつもりです！笑 リクエストありがとうございます。後ほど書いてみたいと思います！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいやき | 作成日時：2019年10月24日 11時
