こんな気持ちは初めてで1 ページ1
石神村。
千空はクロムと一緒に倉庫の中で夜を過ごすことが多かった。
このあたりの文明はまだ焚き火で灯りをとるようなレベルだ。当然のようにあたりは闇に包まれていた。
「千空ちょっといいかな」
千空と対峙するように正座したAは居心地が悪そうに千空と目を合わせた。
居心地が悪いのも無理はない。千空が穴が開くような勢いで見つめているのだから。
「ちょっと聞きたいことがあって」
「なんだ？」
「その、最近千空の様子がおかしーって」
「俺が？」
千空は驚いた顔をしていた。
どうやら無自覚だったようだ。
(おかしいな、コハクがそう言ってたのに)
若干期待外れの表情をしているA。千空はしばらく不思議そうな顔をしていたが、途中で何かに気がついたのか、ピン、ときた顔をした。
「あ”ーーまぁ、心当たりはないでもないな」
「俺も生きるのに必死すぎてスッキリさっぱり忘れてたんだが」
焚き火に照らされた千空は語り出した。ルビー色の瞳。真剣な眼差し。すべてを見透かされそうだ。
「3,700年前から俺はそいつのことをちいと好きなんだが、そいつはそのことにいまだに気付いてない」
しばらくの間があった。
「そ」
「そいつはどんな億万長者なの！？」
「瞬時に出る言葉それかよ」
いやそれより。驚くべきところがある。
”好き”とは？
千空の口からは100億万年先も出ないと思われていた言葉がしれっと出てきた。
この身も心も科学に魂を打ったような男に人間らしい惚れた腫れたの感情があるとは到底思えない。あるとすれば関わることで物資、権力、資金が潤沢に手に入るような人物に違いない。
「いやだって千空さん」
「俺だって何の利点もなく人を好きになることもあるぞ、稀に」
(今ちっちゃい声で稀にって言った)
「そいつはどんな奴なの？」
先ほどまでは全く興味がない様子だったAがやや興味ありげな顔に変わっていた。やはり他人のゴシップは万人に共通したエンターテイメントだ。
「今俺の目の前にいるな」
寸分の狂いもなく千空はAを見ていた。
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たいやき(プロフ) - 小麦粉さん» ありがとうございます！何か思いついたらまた更新できるようにします！ (2019年12月16日 3時) (
レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
小麦粉(プロフ) - はしまして！全作品読ませてもらいました！凄い好みで読めて嬉しかったです。続きを待ってます！ (2019年12月15日 8時) (レス) id: 738efae2c3 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» こちらこそリクエストありがとうございました！感想も嬉しいです！^_^ (2019年11月29日 6時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - たいやきさん» こんにちは。hとχの続き、読ませて頂きました！こんなに早く上げて頂けるとは…本当にありがとうございました！千空が自分をヒョロガリと称するの可愛いかったです笑 (2019年11月26日 14時) (レス) id: 1198a4bf74 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - いちかさん» ありがとうございます。私も学生時代に想いを馳せたつもりです！笑 リクエストありがとうございます。後ほど書いてみたいと思います！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 19c5eaa8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいやき | 作成日時：2019年10月24日 11時
