たい焼きに裏と表ってあるのかな？《佐野万次郎》 (ページ32)

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32.元カノだけど何か？ページ32

『るあちゃん、ごめん。
　あの時マイキー君と約束してて
　一緒に帰る予定だったから
　あの…その、見ちゃったの。』

「……そ。」

え、冷たっ。
塩対応ですな…

「るあちゃん、なんか酷くない？
　Aちゃんに対して
　最近当たり強いし…」

「あずさは黙ってて、関係ないでしょ」

るあちゃんにキツめに言われて
あずちゃんは悲しそうな顔をした。

あずちゃんをそんな顔させる奴は
私が許さん。

初めて会った時から
私に少し冷たいというか、
なんか素っ気ない感じがあったけど

るあちゃんはマイキー君のことが好きで、
尚且つ私がマイキー君の話を
出会って初日からしたから
あんな態度だったんだね。

「Aちゃんって、
　マイキーの何？」

え、何その聞き方。

『何って、何でもないけど』

「じゃあなんで
　一緒に帰ろうって約束なんかしてたの」

『一応友達だから』

「一応って何？それ本当に友達？」

片眉を上げて聞いてくる。

ダメだ、カチンときてしまった。
私のタイマン張り癖が出てしまう。

『え？何、文句かなんかあんの？』

「…。」

私の少し威圧的な言い方をしたせいで
口ごもってしまい、そっぽを向く
るあちゃん。

『友達で何か悪いことある？』

「いや、別に。」

『嫌なら嫌って言えば？
　態度だけで表されてもこっち
　何もわからないんだから。』

「別にって言ってるでしょ。」

るあちゃんが少し強めに言う。

『え、じゃあ何？
　るあちゃんは逆に
　マイキー君の何なの？』

私ってば、誰かが少しでも
可哀想だったり被害を受けてたら、
代わりに言ってやる、そいつとタイマン
張ってやるぜ精神が否めないんだよな…

例え、それで
タイマン相手に殴られようと構わない。
私の少し大人気ないところだ。

「元カノだけど？何か？」

るあちゃんが振り返りながら
不機嫌に言う。

あの時聞いた内容だ。

やっぱり元カノだったんだ…。

あれ？でもマイキー君は違うって
言ってたよね？

「おい、下野。いい加減にしろ。」

既にマイキー君は
門から私たちの居る正面玄関の
入り口まで来ていた。