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3.餡子事件 ページ3

5分後、事件は起きた。




「あのー……」




まさかの先程の不良、
再来店でございます。





私はその時、店長に呼ばれて
店の少し奥にいた。



金髪の不良は誰も気づかないことに
少し苛立ち出したのか、
声を大きくして頭を右に傾けながら言う。





「すみませーん?
 これ、白餡なんですけど??」






その声を背中で受け止めた瞬間
何が起こったか瞬時に把握、
からの、まさか怒鳴られて
返金しろとか文句を撒き散らされるかと
何分後かの未来の出来事まで予想してしまった。





恐る恐る、はい…どうなさいました…?

と精一杯の困り顔を作ってみる。





「いや、だからさっき買ったたい焼き、
 黒餡じゃなくて、白餡だったんすけど」





ひぃぃぃん!!!


怒られる、やばい、どうしよう
相手は金髪の不良だぞ、
うわぁやらかしだ…



これぞ、ぴえん超えてぱおんだ。









『誠に申し訳ございません、
 すぐにお作り直し致します、
 少々お時間頂いても宜しいですか…?』









「これ作ったの、お姉さん?」








ギクリ。







『はい。申し訳ございません。』









そこで初めて金髪の不良は
私の目をしっかり見て言った。






「そっか、
 なんかいつもと味が違うと思った」









グサリ。








メンタルえぐってくるなこの人、
私、まだ初日でこんな頑張ってるのに
そんなこと言わんといて!!!!!!!



味が違うってどういうこと!?



餡子は同じよ!?
生地も同じよ!?



私の悪い魔法か何かにかかってんのか?
そのたい焼き、一旦見せてごらん…?






「でも、2口も食べちゃったから、
 もういいや。」








そう言って尻尾の少し欠けた
たい焼きをこちらに向けてきた。



確かに白餡だ。






『いや!それでも…!』





2口だからって断らなくても、
餡子が出てくるまでに
尻尾なら2口は妥当だよ…?





「いいの!今日は白餡にしとく!」






金髪の不良は何故か笑顔で
じゃあね、お姉さん!って言いながら
たい焼きを持った手をひらひらさせた。







金髪の不良の姿が見えなくなってから
テーブルに手を着き、
大きくため息を付いた。






はぁ、ミスったー。






その時は単純に
それしか頭に浮かばなかった。



よし、失敗は成功の元!!
次は気をつけよう!




そう思って袖を捲し立てながら
気持ちを入れ替えた時に
不意に気づいてしまった。




なんかいつもと味が違うと思った?????

4.友達はマドンナ→←2.つもりだった



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作者名:ゆゆゆ | 作成日時:2021年9月1日 23時

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