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令和 職員室──
｢お前のカレンダ、5月10日めっちゃ派手、なんの日？｣
｢俺の誕生日だ、千寿郎と母が印をつけてくれた」
｢今日じゃん、おたおめー」
煉獄って欲しいものとかあるの？と食欲しかないこの男に聞くと珍しく黙り込んだ。
漏れ出る煉獄の奏でる音域、前世でも一度だけ感じたことがある。
「ね、まさか女？」
煉獄の動きが止まる。どうやら図星のようだ。前回と同じようにアドバイス
「食事に誘え」
「それはキツイな」
聞けばクラスの生徒だという。いいじゃん別に。そう言ったが真面目なこいつは、何を言ってるんだ君。と取り合わない。
「そのうち誰かに取られるなきっと」
顔は笑っているがみるみる額に青筋が浮いてくる。おもしれぇ。
｢予約 もらっとけば。ご飯の」
｢名案だ、卒業式に話してみよう！」
｢は、それは遅いって話さっきしたでしょ？｣
｢しかし…」
｢誕生日なんだからさ、欲しいもの貰え」
｢っ、そうだな、そうするか！」
ひと呼吸あったが即答だ。予約なら問題ないと考えたんだな。判断の速さは昔も今も気持ちがいい
ということでお食事券を作ってやる。美術教師の力を余すことなく発揮。
「すごいな君は！尊敬する！」
放課後、それを持って職員室を出ていった。まあ、余裕っしょ。
しばらくして額に青筋立てて戻ってきた煉獄だった。まさか
「だめだったのか」
「危なかった」
ふぅーと大きく息を吐き、よろけるように自席に座り込むと頭を机に伏せ動かなくなった。
分かり易すぎて笑ける。我慢しなくていいじゃんと思ったが、もう言うのをやめた。
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作者名：りた | 作成日時：2023年5月10日 14時
