2023.05.10／煉獄さんのお誕生日【煉獄杏寿郎】 (ページ7)

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0510 ④ ページ7

「君に渡したいものがある」

胸ポケットから差し出された物はチケットサイズの紙

受け取って見てみると『食事券』有効期限の開始日が卒業後になっている

｢煉獄先生、これは…？」

｢君を食事に誘っている。しかし生徒の君と今は行けないから予約しておきたい｣

食事…穴が開くほど食事券を見る。頭が追い付いてない。一行文が長い。

｢食事に行こうと言っただろう。果たせないままだったからな｣

頭の中で整理する。わたしの事を覚えてくれて任務のこともご飯のことも、そして食事を一緒にと言ってくれている。

「行ってくれるか」

信じられないまま、口元から出るはずの声は喉元に引っ掛かる。

もたもたしていると自分の背もたれに煉獄先生の腕がつく。机にも手をついてるから囲まれた状態になった。

｢俺と行くのは嫌か｣

迫ってくる煉獄先生の目は炎柱の目になっていて、狩られてしまうと錯覚する。この際鬼でもなんでもいい。

｢わ、わたしでいいなら！わたしは、わたしは海老の天ぷらが好きです！100年前から！｣

勢いで告ってしまった。けども

「そうか海老の天ぷらか、調べておく！」

……二度目の告白も伝わってないようだった。ほっとしたような、残念なような。

「ありがとうございます」

100年前と変わらない笑顔に煉獄の喉が唸る。

「今度は絶対ですよ！」

さらに無邪気に笑うAにかんべんしてくれと小さく呟いた。

なんて言ったのか気になって煉獄先生を見たが目線が合わない。一文字に口をしめ、額に何か血管が浮き出ている。

「また明日！気をつけて帰りなさい！」

急に立ち上がりその場を離れていった。展開が早過ぎて追いつかないけど、卒業してからも煉獄先生と会えるという事だけは頭にしっかり刻み込んだ。

そして卒業後、ご飯へ行き、お付き合いしたんでした。