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｢君はみんなが嫌がる作業でも淡々とやってのけるな」
「…そうですか？」
狼狽えてる自分を知ってか知らずか煉獄先生が口を開いてくれたから助かった。
「以前もただ一人黙々と縄を繋いでいた」
縄を繋ぐ……Aの動きが停止し、次に何を言っているのか気付きはっとした。
100年前の任務、炎柱の指示のもと皆で無数にある縄を繋げなければならなかった。縄を繋ぎここを通らなければ大幅な時間を無駄にする。
力仕事ではないが膨大な数。単純な気の遠くなるような作業に嫌気がさす。次第に指の力も無くなっていく。
無理だな、引き返すか。炎柱がそう思った時一人の隊士に目がいった。手際よく淡々と作業をこなしていく。要領がいいコツを掴んでいるようだ。さらには近くの隊士にも教示しそこの辺りだけ以上に早い。おかけで引き返す事なく先に進むことができた。
「君のおかげだ。よくやった」
声を掛けると驚いたのか硬直している。目を見開き息を呑むと声を発した。
「ありがとうございます」
その隊士、Aが瞳を輝かせて笑っていた。
「炎…柱…」
「久しぶりだな！」
炎柱と今世で巡り会い、教師と生徒と近しい関係になれた。担任の先生ならこのさき同窓会などでまた会えるかもしれない。それだけで十分嬉しいのに。
わたしを、覚えてくれている。炎柱の記憶に残ってる。
21歳を祝う事なく、人々を守るためその命を賭け黎明と消えた。
尊いこの人の、誕生日、同じ空間にいる。
目の前には大正時代と変わらない凛々しい笑顔があった。
｢煉獄先生、お誕生日おめでとうございます｣
「ありがとう」
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作者名：りた | 作成日時：2023年5月10日 14時
