そばに 3【煉獄杏寿郎】

12 千と日々・アロマ ページ12

 



天高く馬肥ゆる秋

青く透き通った空

スンと空気を吸う

空気も透き通ってる

秋の匂いがする

この澄んだ空の下千寿郎と洗濯物を取込む


炎の羽織を持って、

「これ杏寿郎の香りがする」

千寿郎にパフっと被せる

「本当だ。兄上の香りがする」


澄んだ空気と太陽が混ざった匂い

季節の度、匂いが違う

季節の度、杏寿郎の香も若干変わる


不意に千寿郎を嗅いでみる

首元に顔を持っていきスンと吸う

「おわッ」

びっくりする


「千寿郎も杏寿郎と同じ香りがするよ」

「ホントですか？」

「うん、同じだ」

干されている洗濯物を見て


「千寿郎がこやって毎日洗濯して干してるからなんだね。

この家の香はずっと千寿郎が作ってたんだね」


そう言うと嬉しそうに笑った

千寿郎のこの笑顔が好きだ。

純粋で汚れのないこの笑顔に泣きそうになる


「Aさんもいい香りですよ」

「ほんと？えへへこれ付けてるからだよ」

香水を見せる。言うまでもなく杏の香水

「千寿郎にも付けてあげよう」

きゃっきゃ言う千寿郎の首元に付けた




「只今帰った」

「お帰りなさい。兄上」

スンと一回息を吸う

千寿郎を見つめ、首元に鼻を付ける

「あ、兄上？」

「Aの香がする」

「AさんにAさんが付けてる香水を付けられちゃったんです」



千寿郎が動くたびAの香りがする

非常に気が散るのだが



……………………………………………………




「千寿郎に君の香水を付けてはいけない」

「なんで」

「なんでもだ」

「むー」

　口を尖らせて言う

「杏寿郎はあれしちゃダメこれしちゃダメ

　ダメ寿郎に名前変えたらいいわ」

「……」



 

13 階級 甲→←11 愛し傷痕と追記

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す