嘘つきな僕ら 18

844 久しぶりの声 ページ41

週刊誌の記事を見て

別れて以来

初めて太輔に連絡した








この一ヶ月、目まぐるしく

いろんな事があって……







太輔とはもう２度と

繋がることはないと思ってた









……というか、そうなっちゃいけないと

思ってたし





太輔がそれを嫌がると思ってた









でも、葵さんのことがあって……




どうしても、太輔から今の気持ちを

聞きたくなってしまった









それでもやっぱり躊躇する私は

ベッドの上で携帯の灯りを見つめながら

何度も何度も太輔のページを開く









なかなか押せない通話のボタン









でも……

勇気を振り絞ってボタンを押した









Prrr……







Prrr……







太輔を呼び出すコール音








出て欲しくて電話したくせに

出ないで……って、無意識に思ってしまう









太輔「もしもし……」








しばらくすると太輔が電話に出た









久し振りに聞くその声は

今までと何も変わらない







彼の声だけを聞くと

私たちの間には

何事もなかったかのようにさえ思えてくる







そんなわけないのに……








「もしもし……あの、私。Aです。」









太輔「……うん。……久し振り。





……どうした？






まさか、連絡来るとか思ってなかったから……」









太輔の声は明らかに戸惑っていた










「……そうだよね。





……ごめん。」









太輔「いや……いいんだけど。」









……。





……。








葵さん……







そう聞こうとしたとき










太輔「報道……大丈夫だった？





……わけないよな。







ごめん……俺のせいで

大変な思いしてるんじゃない？」









太輔と葵さんのスキャンダルから

飛び火した私との二股報道








この１ヶ月は、正直地獄だった





だった……じゃなくて、今も……







落ち着いてはきているものの

私の生活は以前とは180度変わってしまった









「……うん。





……でも、太輔だけのせいじゃないから。」









太輔「……衣装……ごめん。





仕事は？」








太輔と玉森さんとのスキャンダルのせいで

コンサートの衣装グループからおろされて

仕事もなくなった









ずっとひきこもっていた１ヶ月









「……うん。今はちょっとお休みしてる。」









太輔「……そっか。」








……。







……。

845 汚い本音→←843 嘘つきな僕ら

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す