嘘つきな僕ら 14

608 嘘ついてた ページ2

『ソロの話が来てから書いたの』







『ガヤじゃなきゃ書けない曲！』







『俺は葵以外を、愛したことなんてない』







『葵さん、ガヤのために結婚したんだよ。

ガヤを好きだから。』







『言わなくてもいいと思う』








『次のデートで告白するってきめてたよ。』








『本当は、自分がどうしたいのか……

もう答えは出てるんじゃない？』








今まで言われたたくさんの言葉が頭を巡る








『俺が愛するのは

今も今までもこれからも葵だけ。』








『後悔しない恋愛をしてね』








『もう好きかも』








……。








……。









ダメだ……こんなんじゃ……全然ダメだ

こんなのその場しのぎの幸せでしかない








太輔はずっと葵さんを好きだった

葵さんは今も太輔を……








『毎回同じ場所で同じ人と……

……見られなくても

ブルームーンが来る度に思い出せる人が

居るって幸せだな。




それだけで生きていける。』









『何も問題ない。二人で幸せになるよ』








……。





……。









Prrr……








そこへ、まるでタイミングを見計らった

かのように太輔から電話が来た








いや……タイミングを見計らったのは

太輔じゃない







運命を司る神様だ








そんなあり得ないことを考えてしまう程

そのcall音は私の背中を強引に押していく







太輔「もしもし。

今仕事終わったから

ダッシュでそっち行くわ。




Aもう着いてる？」








慌ただしい太輔の声








……。







太輔「A？」








……。








太輔「A……どうした？」









好きな人が私の名前を呼んでいる

それだけで、めちゃくちゃ幸せなはずなのに……








太輔の声が心に届かない

それはきっと、私が覚悟したからだ







太輔の声が別の人の名前を呼ぶ覚悟







太輔が葵さんに会いに行ってしまう覚悟









やっぱり話さなきゃ……









「太輔……

私、話さなきゃいけないことがある。」









そう言うと、電話越しの彼がただならぬ

雰囲気を感じてか黙りこんでしまった









「太輔……私、嘘ついてた。」








太輔「嘘？」









「葵さんのこと……

本当のこと知りながら

知らないふりしちゃおうって思ってた。






……ごめん。」








ずるい私の胸中









太輔「……葵のことって？」

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