112 香水 ページ17
リビングに戻ってから20分
もうドキドキして
周りの声なんて聞こえなかった
20分後に会えるのに
少しずつしか動かない時計の針が
じれったくて仕方なかった
太輔に会いたいと思うほど時間は
わざとゆっくり流れて
太輔と離れたくないと思うほど
時間は早送りみたく過ぎていく
いつもすごく意地悪だ
でも、きっとこれが人を好きになるってこと
これも太輔が教えてくれたこと……
20分後、外で待っていると太輔がやってきた
お風呂上がりの太輔は髪が少し湿っていて
いつもの香水とは違う石鹸の匂いがする
なんか……ドキドキが加速しちゃうよ
コテージ近くの浜辺に腰かけた
４月の夜風はやはりまだ肌寒い
フワっ
部屋に上着を忘れてしまった私に太輔が
着ていたパーカーを貸してくれた
太「寒いっしょ。着てな。」
「ありがと///」
肩からかかる少し大きめのパーカーの袖に
腕を通す
「太輔の匂いがする///」
そう言う私に
太「なにそれ(笑)」
と笑った
なんか前にもこんなシチュエーションが……
「太輔、今日はありがとう……///
海でデートとか、みんなと泊まりたいとか……
たくさんワガママ言っちゃって……」
太「……いや、いいの。
俺も久々海来たかったし。
たまにはこんなのも悪くないんじゃない？」
優しく笑ってくれる笑顔にホッとした
東京の中心から少し外れただけなのに
暗闇の中に星空が広がる
寄せては返す波音が静寂の砂浜に響いて
この世界に太輔と二人きり……
そんな気分にさせた
太「あ、ねぇ。はい、これ。」
差し出されたのは黄色い小瓶
太「バレンタインのお礼。
前にさ、俺の香水気に入ってたみたい
だったから。」
香水！？///……
太輔からの初めてのプレゼントに
飛び上がりそうに嬉しかった
でも、前に見たのは水色だったような……
そんな反応を見て続けた
太「それね、俺の好きな匂いなの。
女の子にもいいと思うから……」
太輔の好きな匂い……///
太「ちょっと腕かして……」
太輔が小瓶を開けると私の両腕にふきかけた
すると柑橘系の爽やかな甘い香りが広がる
「わ〜♪いい匂い♪」
うでをクンクンするとまた甘い香り
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作者名：もも
| 作成日時：2017年6月20日 14時
