STORY07 ゲロ甘 ページ9
「どーも。」
「あ! いらっしゃい総悟君! やっと来てくれた。…待ってたのよ。」
ふわりと、嬉しそうにAさんは笑った。
何となく気恥ずかしい気持ちになる。
あれから何度か街でばったり出くわしたり、話したりはしていたが、団子屋に行くのは初めてだ。
初めて出会った時に見たとはいえ、久々に見た仕事姿は何だか新鮮でいい。
ちなみに今日の俺は、初めて出会った時と同じように……純然たるサボりである。
「あれ? そういえば総悟君隊服だけど…休憩中なの?」
「もちろん勤務中でさァ。」
「…ん? 私の認識が間違えてたかしら。勤務中ってことは…。」
「サボりってことでさァ。」
「何してるの総悟君。ダメじゃない。」
「すいやせん…Aさんの団子屋にはやく行きたかったんでさァ…。」
本心だ。
心からの気持ち。
まあ、きゅるるんといったような色目を使っていることは認める。
だってAさん俺が弟に似てるからってゲロ甘だからな。
甘えると必ず甘やかしてくれるし、許してくれるから、たまにちょろくて心配になる。
もちろんAさんの返答はわかってる。
仕方ないなぁ、だ。
いつものやつ。
「仕方ないなぁ。食べたらすぐ戻るんだよ?」
ほらな。
その言葉に頷き、注文をした。
全種類1本ずつ、全5本。
三色、みたらし、黒蜜、きなこ、あんこ。
どうしても全部の味を堪能したくて頼んだ。
あと初めてだったこともある。
Aさんの店でたくさん注文して、喜ばせたかったことも要因の一つ。
「はい、どうぞ。いっぱい頼んでくれてありがとう。本当にお腹空かせてきてくれたの? たーんとお食べ。」
「ありがとうございやす。もうお腹ぺこぺこでさァ。いただきやす。」
一口食べて驚く。
美味ェ。
前々から思っていたが、この店は老舗なんだろう。
古めかしい建物や雰囲気からもわかる。
奥にいるじじいが一つ一つ作っているらしい。
少し焦げた味がまた深みを出していて、本当に美味ェ。
何で今までこんな店知らなかったんだろうか。
Aさんいなくても常連になるわこれ。
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時