STORY15 自覚からの自重 ページ17
___思えば、一目惚れだったのかもしれない。
最初は姉上に似てるからだと思った。
でも、姉上に似てるからって、べっぴんだからって、目が離せなくなることがあるだろうか。
姉上と瓜二つならまだしも、似ているのは髪と雰囲気だけ。
普段なら多分、ああ似てるなぁくらいにしか思わない。
女の前で立ち止まったりは絶対にしない。
あの嫉妬だって、また土方にとられると思ったからだ。
…少し考えたらわかることだった。
きっと俯いた儚げな彼女に見惚れて、澄んだアクアマリンの瞳に目を奪われて、悪戯っ子みてーな笑顔にやられた。
だが簡単に受け入れられるワケもねェ。
今こんなに幸せだってのに、これ以上求めたら。
あの女は、きっとこれ以上は手に入らねェ女だ。
そもそも男として見られていない。
弟として可愛がられるだけで幸せだったのに、今じゃそれが障害だ。
彼女はきっとそのうち歳の近い男と出会い、結婚し、子をこさえるんだ。
俺とは住む世界が違う平和な女。
姉上のように俺から遠ざけて、安全なところで幸せになって欲しい。
「…そこに俺がいることは、叶わねーのかもな。」
なんとなく土方の顔がちらつき、思考を散らすように頭を振る。
真選組は危ねー仕事だし、家を空けることも多いだろう。
いざとなったとき、彼女を守れないかもしれない。
彼女より江戸のために、彼女の元を離れなければいけなくなるかもしれない。
もしかしたら、俺のせいで人質に取られるなんてこともあり得る話だ。
ただ付き合うだけならワケねーが、そんな軽い付き合いならいらねェ。
…付き合う前から将来の話なんて重いって嫌われるだろうか。
自分が選んだ道だし、微塵も後悔はしてねェ。
だが、少しだけ煩わしくなった。
…なんて、勝手だな俺。
___気分転換にでも出かけるか。
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時