193話 ページ6
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貴 「！？」
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のんは私の気持ちを見透かしたようなことを言う。
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そして言葉を選ぶようにゆっくりと私に話す。
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小 「…俺も他のメンバーもみんなお前が嫌いやない。
むしろ大好きで、AがおらんジャニーズWESTって考えれんくらいや。
実際Aが活動休止になった1ヶ月みんな口数減ったしな。
やからこそ俺らは自分自身がやってきたことが許せず、ただ1人悔いる事しか出来んかった。
小さな嫉妬でも、それが貯まると徐々に大きくなって歯止めがきかんなるねん。
その嫉妬は俺らをアカン方向に導く。
ううん、俺らはその嫉妬に勝つほどの勇気も器もなかってん。
そのせいで俺らは…俺は大切なメンバーを傷つけてもうた…っ。」
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のんがそう言うた後、襖越しからすすり泣くような声が聞こえた。
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もしかして…のん泣いとるん？
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それからのんは襖越しに何度も何度も
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“ごめん”
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そう繰り返して泣き続けた。
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きっと前の私ならのんが泣いてても関係なしに突き放しとったやろう。
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自分をいじめとった人を助けるくらい広い心を持ってへんから。
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でも…なんでだろう…？
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貴 「…のん…泣かんといて…よっ」
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のんの言葉と涙は嘘なんかやない。
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そう思うと自然と言葉が出てくる。
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貴 「もう…何もかも遅いねん…。
やから謝らないで。
私は最初から必要なかってん。
ただそれだけのことやから。
綺麗な虹に真っ黒い雲は必要ないやろ？
そのせいで綺麗な虹が台無しになってまう。
それと一緒。
私はみんなの笑顔を奪ってまう。
やから…もう楽にさせてよっ。」
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私は震える声でそう告げた。
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私は、これ以上…頑張れへんわ。
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作者名：凪優月
| 作成日時：2016年6月4日 16時
