410「2度目の話し」 ページ10
(玉森)「…あのさ、ひまりが…」
A「…うん。」
玉森さんは、丁寧に事の一部始終を私に話してくれた。
でも、私にとっては、この話しを聞くのは これで2回目になる。
1回目は、藤ヶ谷さんの口から…。
そして、今…玉森さん本人の口から。
誠実に包み隠さず話す玉森さんを目の前に、正直どんな顔をして話しを聞けばよいのか戸惑いを隠せなかった。
そんな今の私…、どんな顔してる?
きっと…初めて聞きましたって、何食わぬ顔をして聞いているよね。
隠し事もしちゃうし、こうして演技もしちゃうし…
本当に私って、最低。
ズルイ人間。
(玉森)「ひまりの暴走を止められなかったのは全部俺の責任だと思ってるよ。
本当に ごめん。」
そんな私は、玉森さんの話しも誠意ある謝罪も頭の中に入ってこない。
A「//いえ…、玉森さんは悪く無いですから。
謝らないで下さい。」
そう必死に返した。
いや、正確には それしか言葉が出てこなかった。
昨夜までは、ひまりさんの一件で、心を痛めていた私だったけど、今は…ひまりさんがした事なんかよりも自分が藤ヶ谷さん家に泊まってしまった事、それを玉森さんに隠している事で胸が締め付けられる思いでいっぱいになっていた。
(玉森)「また いっぱい泣かせちゃったよね…」
A「……。」
(玉森)「A…、俺のこと…、嫌いになった?」
私の顔を覗き込み、不安そうな瞳で見つめられる。
A「ううん/そんな事無いです。
…大好きです。
すごく、すごく。」
(玉森)「そっかぁ、良かったぁ…。」
曇った顔が一気に晴れて安堵の表情を浮かべる玉森さん。
(玉森)「俺、Aのこと大好きだから//
うん。」
そう言うと、玉森さんは ふわっと私のことを抱きしめてくれた。
玉森さんは知らない…こんなダメダメな彼女の私のことを…。
そんな抱きしめられる胸の中で思った…
私が、ここまで冷静に…玉森さんから事の全貌を最後まできちんと聞く事ができたのは、昨夜 事前に藤ヶ谷さんから教えてもらっていたからだ…って。
そう思えば思うほど、藤ヶ谷さんへの感謝の気持ちが溢れ出た。
それは、口先だけの薄っぺらな感謝なんかじゃ無い。
…心からの感謝が…。
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作者名:ともこ | 作成日時:2018年6月17日 1時