初彼（続編） 4 (ページ22)

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172 「抱きしめて眠ってもいいかな」玉森side ページ22

毎晩のAちゃんの習慣…

ベッドで横になりながら読書をする事…。

今日も…。

ふと覗くとそのまま眠っているようにも見えた。

そっとAちゃんの眼鏡を外してみる…

でも動かずに本を開いたまま握りしめてて。

やっぱ寝ちゃったんだな…って、彼女の顔を見つめた。

その手には、さっきのうちわ作りで手について取れなくなっちゃった油性マジック…

……Aちゃんって本当かわいいし、いい子だな…って、つくづく。

コンサートに行ける！って喜んだ時の笑顔や、うちわ作りをするキラキラした笑顔が頭に焼き付いて離れないままスヤスヤ眠る寝顔を見つめると…愛おしさが溢れた。

そして同時に

ひまりとのことで傷つけてごめん…っていう思いも。

その握りしめたままの本を取り、そっと布団を掛けてあげた。

最近…、あの日以来…、Aちゃんとキスさえできなくなっていた。

こうして毎日一緒には寝るけど…Aちゃんはだいたいこうやって本を読んだまま…本を抱きしめて…眠る。

触れたいけど、触れられ無い…

くっつきたいし…抱きしめたいけど…

でも…できない。

これ以上嫌われたく無いし、イヤがられたく無い…。

………。

でも…

明日からまた数日離れ離れだし…

今日は抱きしめて眠ってもいいよね…。

そう自問自答しながら…眠っているAちゃんを自分の方へ手繰り寄せ、抱きしめた。

抱きしめるって…こんなにもぬくもりを感じるものだったけ？

…しみじみ感じれば感じるほど切なくなった。

だって…寝ている間しか抱きしめられ無いから。

…そう思えば思う程、思いが高まって強く強く抱きしめた…。