76 「終わらない夜�此� ページ26
(青川)「おまえ、焦ってるでしょ？」
A「えっ…？！」
(青川)「さっきから ずっと触ってるな。そこ。」
青川君の目線は私の腕時計にあった。
私の癖、よく知ってる…。
腕時計のチェーンを焦ると触る癖。
……………………………
(青川)「仕事どうなの？
こんな事ばっか？」
A「こんな事って…」
(青川)「だから こんな事だよ！
直しばっかに時間を取られる くだらない事。」
A「うん…、まぁ、正直 踏んだり蹴ったりかな…。」
(青川)「前 居た派遣の子は？
あの子とは上手くいってたじゃん。」
A「あの子は派遣期間終了で派遣延長はできなくて。
あっ、でも今の奈良さんも頑張ってくれてるよ。」
(青川)「でも説教しちゃったんでしょ…。
あの子、ああいう感じに見えて、結構 堪えてる感じだったし。
ってか、Aが最終的には管理してる案件なんだから、奈良さんに説教とかクレームつけるのは… どうなのかね…。
ましてや相手は派遣さんだし。
それって、お門違いじゃない？」
そう言われ無くても自覚はしていた…派遣さんに説教だなんて…。
これは全て私自身の能力不足による管理ミスだって事。
こうして青川君にハッキリと言われ、責任転嫁した自分が改めて恥ずかしくなる。
これは私の仕事、案件。
私のせいだ。
私の責任。
何か先方に言われても意見がすぐできるぐらい主体的に関わらなきゃいけなかったんだ。
何 人のせいにしようとしてるんだろう。
何 説教しちゃってんだろう。
かっこ悪い。
「何時に もらえそうですか？
できれば早めに…、今日中か…。
でも…明日の午前中でもいいですよ…。
もう この時間ですし…。」
そこに いつに無く歯切れの悪い電話が舞い込む。
でも自然と…
A「申し訳ございません。
明日の午前中まで お待ち頂けますでしょうか。」
手元の時計が23時を指していた。
先方に心からお詫びし、先方の言葉に甘えるかのように明日の午前中まで猶予を頂き…
この終わらない夜を無理矢理終わらせるかのように会社を後にした。
……………………………
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作者名：ともこ
| 作成日時：2018年2月4日 1時
