792「もう一人にはさせない」藤ヶ谷side ページ42
藤ヶ谷side
混迷したままAちゃんの後を足早に付いて歩けば、一気に空気が ひんやり…
湖へ出た…。
(藤ヶ谷)「Aちゃん！
もう遅いし、戻ろう！！」
手元の腕時計は0時を指し示していた。
水辺は一段と寒く感じられ、俺はAちゃんの手を取り、コテージへ戻ろうと促すも、
ぼっー、と…動こうとしない彼女。
その目線の先に目を向けると…
………………………
………………………
／／ひ、ひまり？！
玉？！／／
………………………
ひまりは、前屈みになり、玉の顔に 顔を近づけ唇を重ね合わせている…
半開きだった玉の唇が大きく開き、ひまりの柔らかい舌が玉の口の中に入っているようにも見える…
玉も…無意識なのか その動きに応えているようにも…
いや、そうじゃ無い…、ひまりを拒否し、突き放そうと身体をねじり動かし、悶えているようにも見えた…。
だけど、ひまりは言葉にならない言葉を、そこに刻み…執拗に探し求めているかのように何度もキスを繰り返す。
………………………
………………………
A「だから、ついて来ないで…って言ったのに…。」
(藤ヶ谷)「……。」
A「…二度も…、この同じ景色を見たく無くて、私…コテージへ戻ろうって急いでたんですよ。
なのに…藤ヶ谷さんが道を塞ぐから…。」
Aちゃんは、茫然とし、放心し切っていた…。
だからこそ淡々と出る言葉の数々…
A「画になりますよね…、二人…、、、
まるでドラマのワンシーンみたい…、、」
(藤ヶ谷)「…Aちゃん／！」
俺は、それ以上 聞きたく無くて彼女の言葉を遮った。
…………
すると…
A「…私、大丈夫ですから…。」
ぽつり…。
…………
そう言い残すとAちゃんは、湖の砂浜を出て、コテージへ向かう遊歩道を ゆっくりと戻っていく。
………………………
大丈夫なんかじゃない…
もう 一人にはさせない。
玉には任せていられない。
…………
ぽつぽつと歩くAちゃんの後ろ姿は、俺の目を擦り抜け、胸に直に刺さるようだった…。
………
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作者名：ともこ
| 作成日時：2018年9月19日 2時
